ドル建て金価格が1,900ドル台でもたつくなか、円建て金価格は円安要因が、今までに増して重要になる。
いまや、FRB,ECB,BOE,カナダ中銀など、世界主要国の中央銀行が利上げに動く中で、本日、金融政策決定会合が開催される日銀だけは、周回遅れどころか、利上げなど、とても出来る環境にはない。
金利差で、円は売られドルが買われる傾向は、ドル建て原油輸入額が国際収支赤字要因となることもあり、今後も続きそうだ。
不気味なのは、この日銀も傍観するしかない円安傾向に目を付けた、NY市場の国際通貨投機筋が、円売り・ドル買いの仕掛けに集中する可能性が出てきたことだ。
もし、米国の大型投機マネー集団が一斉に円売りを仕掛けたら、数日で2~3円は円安方向に動かせてしまう。
NY市場で断トツの通貨ペアはドルユーロで、ドル円は後塵を拝する。
つまり流動性が限定的ゆえ、動かしやすいのだ。
しかも、日本側はNYの動きに連動する傾向がある。(日本人として情けないことだが)。
日本の外為アナリストは、理論建ては上手だから、ああのこうの、と理屈並べているうちに、行動あるのみの米国側が、ドル円価格主導権を把握してしまう。
結果的に、日本人は朝起きたら、円相場大台突破とかでビックリするだけだ。
2021年10月の時点で、NY市場の雰囲気を察した筆者があちこちに118円説を書いたとき、日本の主流は115円まで到達するにはハードル高し、という見解だった。
実質実効為替レートなどを持ち出し、それとの乖離などを論じ、円安行き過ぎなどと説いていた。
おもわず「あんたには行きすぎかもしれないけど、全く違った価値観で売買する人たちがNYでは更なる円売りに動く気配だよ」と言ったものだ。
更に、長期的には、為替レートは国が稼ぐ力で決まる。
残念ながら、少子高齢化で移民も拒む日本の企業は、米国企業のダイナミズムには勝てない。
願わくは、日本の優れた技術力をもって、米アップルとかグーグルのような大企業が日本にも出現してほしいのだけど。
まぁ、個人ではどうにもならない話なので、かねてからセミナーでも話してきたように、私は財産の半分をドル建て資産(含む金)で運用している。
FXなどという投機は自らプロでリスクを痛感しているから一切個人的にはやらない。
プロの個人資産運用は地味なものだ。
日本人には外貨アレルギーも強い、ドル、ユーロと言っても、為替リスクが怖いという。
私は、円だけを持つリスクのほうが怖い。
円安で円の購買力が50年ぶりの低さに低下していることのほうが怖い。
それでも、日本人の多くは「円なら安心。外貨は不安」と言う。
資産を円だけで持つリスクも考えるべきだろう。
20年後、日本の通貨は人民元になっているかも。
そういう歴史を多くの国は経てきているのだ。
日本は元寇のとき「神風」(台風)が吹いてくれたから助かったけど。
あれはラッキーだった。
でも、今回ウクライナ侵攻で、台湾に中国人民解放軍が侵攻という有事や、北朝鮮ミサイルが日本領土内に落下などの、これまでは「まさか」と思われたシナリオのハードルが低くなった。
金価格が1,800ドルに下がったとか2,000ドルに上がったとか、短期的な話ではなくて、長期資産としての金も、これからが日本における本格デビューだと感じている。