FOMCで利上げが決まる前夜、国際金価格は昨晩、1,900ドル近くまで急落した。
やはり利上げは金の天敵。
本欄に、年末には1,800ドルも、と書いたが、あまりのスピード感に驚いている。
とはいえ、このまま下げ続ける地合いではない。
インフレが収まる気配はない。ウクライナ停戦交渉で、まともな合意があるとは誰も思っていないだろう。
たとえ、合意らしきものが示されても、実効性に大きな疑問が残る。
基本的には、FOMC前夜の、ポジション調整と見る。
これまで金を買いあげたヘッジファンドにしてみれば、FOMC前に、売り手仕舞いで、身辺整理の心境だろう。
儲かった分は、しっかりいただき、FOMC後にまた新たにポジションを作る、というわけだ。
昨日は、原油も売られ、WTIはアッサリ100ドル割れ。
それを受けて米株価ダウ平均は599ドル急騰。
中国のコロナ都市封鎖→原油需要減→WTIが100ドル割れ→米株価急騰という、風が吹けば、桶屋が儲かる式の展開であった。
株外為債券に比し市場規模が小さな商品市場での投機的売買に、株価が振り回されている。
そして、明朝はいよいよFOMCで歴史的な超緩和から引き締めへの転換発表。
市場は利上げ回数5~7回織り込んでいる。これを織り込んで1,900ドルまで金は下げたともいえる。
それでもインフレが抑えきれない場合は、金が上がる。
それから、ウクライナで核の脅威が現実的となり、北朝鮮ミサイル発射が、これまでとは全く異なる現実味を帯びてきた。
独裁者は、本当に核戦争をやる可能性があることを思い知らされた。
台湾有事も、中国がロシアみたいに台湾に攻め入る可能性が、低いものの無視も出来なくなった。
有事に備える金の意味は、いよいよ日本人にとっても、考えねばならぬ(考えたくもないが)ことになりつつある。
金が2,000ドルだろうが、1,800ドルだろうが、そういうレベルの話ではない。
金のような実物資産で防衛することが重要なのだ。儲ける、損するという話ではない。
さて、今日は英語の表現をひとつ。
いまのようなクレージーな相場を見せつけられたとき、It‘s not pretty! という。
可愛くないという意味にあらず。
災害などの惨状を見て発する表現。
目を背け、首を横に振りながら、これは酷い、という感じ。
Bloodbath(血の風呂)ということも多いが、ちょっと下品。
それから、下げ相場のなかでの相場反転を、dead cat bounceというのだけど、これは、猫好きの私は絶対嫌な表現。
和訳したくもない。
Bear market rallyというのが標準的かな。