1990年代初頭にソ連崩壊後、ロシア連邦の中央銀行が金の大量売却に走り金価格が当時の安値圏である350ドル近傍まで暴落したことがある。
金需給統計を見ても、1992年1993年の公的部門金売却量が年400~600トンと突出している。
未だ年間生産量が2,000トン台であった頃ゆえ、インパクトは大きかった。
その当時、ソ連としてもロシアとしても公的金保有量など全く発表していなかったが、金市場では、推定として、大量売却量が年間400トンペースなどの数字が流れた。
一連の金売却で、ソ連の公的金保有量が推定2,000トン程度から、空っぽになったとも市場では言われたものだ。
当時は「トイレットペーパーを買う資金調達のため金大量売却」とも語られた。
「有事のために貯えた金を売って凌ぐ」という金保有の有難みを覚えたロシアは、その後、原油価格上昇にも助けられ、経済が改善するや、公的金準備を再び買い増し、いざというときのための備えを強化した。
公的金準備も、今やIMFを通じて公開しているが、2,000トンを超えた。
そこに起こったウクライナ問題。
金融制裁で、最悪、ドルの決済圏から締め出される危機が迫ってきた。
今こそ、外貨準備の金を売却して外貨調達する行動に出ても全く不思議はない。
既に、ユーロと金を組み合わせ決済手段に使うのではないか、との観測も出始めた。
筆者は、人民元と金の組み合わせが現実的と考えている。
ウクライナ問題に対する中国の姿勢は、台湾の主権は絶対に譲らないとの中国側の基本姿勢に鑑み、ロシアのウクライナ主権侵害支持には消極的だ。
とはいえ、親米とも思われたくない。
複雑な立場に立たされ、台湾はウクライナではない、と、わけのわからない声明で乗り切る構えだ。
但し、人民元をIMFに第五の国際通貨として認知してもらい、今後も国家戦略としてデジタル化した人民元を国際決済通貨として世界に広げたい野心がある。
そこを読んだロシアは、中国より経済規模が遥かに劣ることもあり、この際、人民元をサポートして、米ドルの世界的通貨覇権に挑戦する戦略に切り換えた。
既に、ロシア中央銀行は、金購入から人民元購入にシフトしている。
かくして、ウクライナ問題を機に、通貨ブロック化が進行しそうだ。
マンデル・コロンビア大学教授が提唱してノーベル賞受賞の選考理由にも挙げられた「最適通貨圏」構想が現実味を帯びる。
「無国籍通貨」「発行元がなくソブリンリスクのない通貨」としての金も新興国が既に外貨準備としての組み入れを増やす傾向にある。
最適通貨圏構想にある「中東地域の最適決済通貨は金」との発想も今や絵空事ではない。
米ドル決済圏から外されるリスクに晒されるロシアが、ユーロ・人民元・金の非米ドル資産を増やす可能性も高まる。
この通貨戦争の戦力分布では、米ドルの一極集中是正、欧州通貨・人民元・金の連合軍という構図が一つの可能性として想定される。
そこで、円の立ち位置はどうなるのか?アジアの「地域決済通貨」は人民元か円か?
日本にとっても厳しく自国通貨の実力が問われ吟味・選択されることになろう。
さて、久しぶりにマガーリ@自由が丘に行ってきたよ。
現在は一日一組に制限しているけど、そろそろ、徐々に解除も考えねばね。
大粒の牡蠣のパスタと山菜(ふきのとう)のリゾット。
いよいよ大好きな山菜の季節か~。
ふきのとうの苦みには、チーズ味の相性が抜群。
シェフのたかさんと、マダムと談笑しながら、外は寒く相場は大荒れの日であったけど、ほっこりしたひとときであったよ~。
それから本日の読売新聞朝刊に寄稿している。
と書いているうちに、ロシア軍事侵攻の報道で1,920ドルに急騰中。
今週が有事の金高騰のピークだろうね。