26日のニューヨーク市場は、朝から、騒然として、入れ込んだ雰囲気が目立った。
「今日のFOMC後のFRB議長記者会見は、稀に見る、重要なイベントになる。
パウエル議長のコミュニケーション力が試される」と著名経済キャスターも興奮気味だった。
現地午後2時半に記者会見開始。
ダウ平均は、それまで前日比300超の高値を維持していたが、会見中にみるみる急落。
一時は前日比300超の安値をつけた。
金は下げが加速。1,810ドル台まで急落した。
特に特定の発言が材料視されたわけではない。
わがままな市場が知りたい事に対する明確な答えがないので焦れて、見切り売りが始まったのだ。
そもそも市場側もパウエルFRB議長が、利上げ回数やQT開始時期・規模などに関する具体的な質問に答えられるはずもないことは百も承知なので「わがまま」なのだ。
「かなり利上げ余地がある」とパウエル氏が語れば、すわ、年4回以上か、と前のめりになる。
「前回のFOMCで3回利上げ予測が中心値であった。その後、6~7週間後の今、市場は利上げとQTを織り込んでいる。市場とのコミュニケーションは旨くいっているではないか」と言われても、もっと明確な答えが聞きたいとばかりに市場は荒れる。
QTに関しては、更に突っ込んだ質問も飛んだ。
「かなりのバランスシート縮小を秩序あり予測できる方法で実行する」との答弁に、金市場には緊張感が走る。
時期に関しては「次回、そして、次々回も議論する。もっとお話しできれば良いのだが、現時点で、これ以上、話すことはない」。
最後に「I cannot help you」あなたを助けられるのもここまで、とダメをおされた。
先週来の株価大変動の影響についての質問には「そのような市場の波乱を特に注視しているわけではない」と、すげない答え。
市場はすねたように、更に荒れて見せる。
パウエル発言に不透明性が感じられるたびに株も金も売りの連鎖が誘発される如き様相だ。
会見後、市場には「FRB議長との蜜月は終わった」とのほろ苦い感覚が漂う。
振り返ってみれば、事前の段階で、オミクロン・ウクライナ・原油高=インフレ増幅など不透明要因が多く、パウエル議長も予定通りの利上げやQTに動けず、ハト派色を強めるのではないか、との憶測が流れていた。
金市場はハト派(利上げ慎重派)のパウエル氏が見たい。
タカ派(利上げ積極派)のパウエル氏は嫌いだ。
それが、記者会見では、のらりくらり、ハト派とも言えない発言が続いたので、金市場は痺れを切らした。
直接的には、ドル10年金利が1.8%台まで上昇してドル高傾向になったことが要因となっている。
まずは、3月利上げは、間違いあるまい、との読みだ。
とはいえ、まだまだ、波乱万丈のパウエル相場である。
今後のパウエル氏が、タカ派色を強めれば金1,700ドル。
ハト派色が混じれば、1,900ドルと見る。