米運用会社GMOの共同創業者であるジェレミー・グランサム氏といえば、日本の平成バブル、IT(情報技術)バブル、米サブプライム住宅ローンのバブルの崩壊を的確に予測してきたという当代随一のバブル研究者だ。(GMOとは同氏のフルネームのイニシャル)。
日経新聞でも大々的に紹介されている↓


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH2770P0X20C21A1000000/


その同氏が、20日付GMOホームページに寄稿。
バブル後期を示唆する「投資家のクレージーな行動」が見られることに言及。
ミーム銘柄、EV銘柄への集中的投資、ドージコイン、NFT(非代替性トークン)を具体的事例に挙げた。
米国株は「スーパーバブルの暴落が進行中」としてSP500株価指数が2500となる見通しを示した。
そのうえで、投資家は、どうすべきか、についても言及。
「まず米国株を避けよ。新興国株と特に日本株を推奨。
更に、多少の金や銀も」と記した。
バブル予測を的中させてきた人物の発言ゆえ説得力はある。
そもそもウォール街の最新のスローガンは「ゴー!インターナショナル」。
米国株中心のポートフォリオを外国株に分散せよ、ということだ。
そこで圧倒的に欧州株が次の選択肢として挙げられるが、グランサム氏のようにアジア先進国株として日本株に注目する動きも出始めた矢先のことだ。
そしてバブル破綻ヘッジとして貴金属を挙げたのだ。


ときあたかも、FOMCを控え、先週の米国株価には異常な動きが目立った。
水曜、木曜、金曜と3日連続で、引け前1時間から下げが加速して安値圏で大引けという、後味悪い値動きが続いた。
特に21日は、クロージングベルが鳴り続ける間にもダウが50ドル近く下落を続けた。
週末、ウクライナで新たな動きが出るやも知れず、1週間の最後に出口に駆け込む投資家群を連想させた。
しかも、先週はネットフリックスが一日で20%以上急落。
連られてディズニーも7%近く急落。アマゾンも6%近く下がり、人気株売りの連鎖に歯止めがかからない。
広く投資家が保有する銘柄が相次いで炎上のごとき下げに見舞われた。
この現象をマクロ経済の視点で見ると、負の資産効果が生じて、米GDPの7割を占める個人消費が萎える可能性もある。
既に、米小売売上高が1.9%下落という経済統計サプライズもあった。
こうなると、株価変動には一線を画すFRBも、無視は出来まい。
タカ派に転じたFOMC内部でも、ハト派が息を吹き返し、利上げ棚上げ論が議論される可能性もあろう。
オミクロンも引き続き視界不良だ。果たしてFOMCは利上げ見切り発車出来るか。
3月利上げ開始、年間4回利上げを織り込んだ市場が慌てて利上げトレードの巻き戻しに走るシナリオにも留意する必要がありそうだ。


金売りは「利上げトレード」に属するが、利上げ議論棚上げとでもなれば、金にはかなり強い買い要因となろう。
あくまで「サプライズシナリオ」だが、実現すれば1,900ドルも見込めるほどのインパクトはあろう。
全ては今週FOMC次第。利上げが確定されれば、金融超緩和から金融引き締めに転換する「歴史的な」FOMCとなる。
それゆえ市場には緊迫感が満ちているのだ。金にとっても1,900か1,700か正念場。
なお外為市場では株暴落で円が買われ円高に振れている。
これは一過性現象。


なお、グランサム氏は仮想通貨に関しては、裸の王様に例え、多くの投資家が、「仮想通貨」の派手な衣装を褒め称えている。
非常の複雑で普通の人たちは理解できないが、信じている。
私は信じない。このような状況で、私は、信じることより、回避することを学んできた」と述べている。
この週末にはビットコインが35,000ドル水準まで暴落した。
過剰流動性相場の代表格とされた仮想通貨は、株価との順相関関係を強め、弱気相場入りのレッテルを貼られている。