市場は刻々動き、筆者は御用繁多。ブログの更新も遅れがちだ。
10日金曜日に、11月米消費者物価指数が年率6.8%と発表された。
その後の市場の反応を注意深く見てきたが、基本的に、想定範囲内で大きな動きは見られない。
インフレヘッジとされる金の国際価格は依然1,800ドルに届かない。
既に12月FOMC(14~15日開催)を控え、ブラックアウト期間に入っているので、FOMC参加者の地区連銀総裁などからの公的発言もない。
パウエルFRB議長は、テーパリング早期終了を明言して、利上げの検討に入る姿勢を明らかにしたが、市場は依然、2022年に3回程度の利上げを見込んでいる。
最速来年3月にはテーパリングを終了して、5月には1回目の利上げ、更に、年後半に2回の利上げを見込む。
金利を生まない金にとって、年3回の利上げはきつい。
インフレヘッジとしては、もっぱら、米物価連動国債が買われている。
但し、市場では、ビットコインが暴落後もジリジリ値を下げており、これまでビットコインを薦めていた市場参加者が、金を見直す動きも目立つ。
今、慌ててビットコインを見切り売りしているのは、最近、一儲けを目論み購入した人たちで、彼らの平均購入コストは5万4千ドル程度とされる。
実勢相場が4万ドル台になり、たまらず見切り売りに走っている。「インフレヘッジとしての仮想通貨」のキャンペーンも下火になった。
さて、インフレについての筆者の見解だが、来年前半にかけて高水準が続くと見る。
しかし、供給網の混乱も消費者のリベンジ買いも、1年は続くまい。
例えば、既に、ロサンゼルス港のコンテナ船渋滞はピークを過ぎた感がある。
問題は金融政策だ。パウエルFRBが、利上げを躊躇う間にも、インフレが独り歩きして鎮静化せず、慌てて、複数回の利上げに追い込まれるシナリオが最も懸念される。
しかし、過熱のピークを過ぎた景気に急ブレーキをかければ、経済・市場は混乱する。
マーケットにはリスク回避傾向が強まり、金は買われよう。これは、来年の話だ。
なお、オミクロンのような変異種が再発すれば、供給網混乱に拍車をかけ、インフレ加速のリスクがある。
これらを考慮すればするほど、パウエルFRBは、海図なき航海という非常に厳しい対応を強いられる、おそらく、誰がFRB議長でも、うまく乗り切ることは至難の技であろう。
金の出番はこれからである。