昨日本欄で、事前発表されたパウエル議長議会証言の声明文について詳述した。
全体的なトーンがタカ派的なので、「市場の利上げ後退観測に一石」と書いた。
そのブログ更新を終えてから4時間後に、モデルナ社CEOの発言が飛び出し、昨日の更新原稿に「追記アップデ―ト」として入れ込んだ。
オミクロン株に対するワクチンの有効性が低いことを端的に述べた発言だったので、日経平均が400円以上急落するほどインパクトがあった。
市場では、オミクロン株の景気下押し効果が想定を超すと受け止められ、パウエルFRB議長も、まだ当分は量的緩和を継続して経済回復を支えるであろうとの観測が流れた。
しかし、議会公聴会でのパウエル氏の発言は、明確に、テーパリングの早期終了・利上げの早期開始を示唆する内容であった。
否、「示唆」ではなく「断言」と言ってもよい表現であった。
「もはや、インフレは一時的との言い方はやめる」
「テーパリング終了は2-3か月早めるつもりだ」
量的緩和縮小は早々に終えて、次の段階の利上げを急ぐ、との姿勢だ。
その理由は、オミクロン株が拡大すれば、行動制限が再び厳しくなり、サプライチェーン混乱や人手不足が激化して、結局、コストアップのインフレを増長させる、ということだ。
それを抑え込むために、利上げを急ぐ。
「困ったときのパウエル頼み」で、パウエル依存症になっている市場は狼狽した。


株価はダウ平均で600超急落した。
金市場では、いよいよ2022年は利上げか、との実感が強まり、覚悟はしていたものの、ジリジリ値を下げ、1,770ドル台で推移している。
金利を生まない金にとって、利上げは天敵だ。
但し、パウエルFRBが、インフレの封じ込めに失敗すれば、糸の切れたタコのように、インフレが悪化する。
FRBは、慌てて、利上げを連発して、結果的に景気後退を誘発しかねない。
このようなシナリオが現実味を増せば、一転、金はインフレヘッジとして買われよう。
パウエル議長の金融政策手腕を信じられれば金は売り。信じられなければ金は買いである。