最近、NY金市場でも、真の金専門家が「絶滅危惧種」になりつつある。
金の部門の顔ぶれを見ても株式・債券・外為部門から人事異動で配属された人たちが目立つ。
筆者は、日本でも、金専門家育成の必要性を感じ、有望な若手を指導してきた。
ところが、多くの場合、日本流の人事異動で、2年後には他部門に廻されるなど、なかなか金の専門職が育たない。
多くの分野を浅く広く体験させるジェネラリスト育成志向が優先する。
本人も、金のスペシャリストより、ジェネラリストのほうが、人事では主流と感じる場合が多い。
金市場の規模も限定的だ。
しかし、「金は世界経済を映す鏡」と自著に書いたように、株式・債券・外為など様々な市場の動きが金価格に影響する。
金価格をフォローするということは、世界経済をフォローすることに等しい。


そもそも、それゆえ、筆者は独立後、株にも債券にも外為にも精通しているマクロ系専門家として活動できているわけだ。
金需給などミクロの視点と、マクロの視点のバランスが肝要である。
とはいえ、「育成」のプロセスも難しい。
やはりNY、ロンドン市場で直接、金のディーリング業務を体験しないと分からないことも多いからだ。
だからといって、金専門家育成のため、社員をNY、ロンドンに転勤させることは、現実的に困難であろう。
中国、インド、ドバイの金現物市場も現地で体験しないと分かりにくいことだらけだ。
たまたま筆者は、その全てを体験できたのだが、これは例外的事例だ。
それゆえ、なんとか、言葉で伝えてゆこうと試みているのだが、もどかしく感じている。
構築した世界的な人的ネットワークも、なんとか、次世代につなげてゆきたいと常に意識している。
色々な場面で、少しずつでも、金市場の現場の雰囲気を、このブログなどで伝えてゆきたいと思っている。