日本株政変ラリーはほぼスルーしたNY市場だが、ミスター・キシダの登板に関しては、メディア報道も目立ち、ウォール街でも話題になった。
「アベノミクス批判論者と聞き及ぶが、所得再配分を経済政策として掲げてきたからか」
世界の成長株を追うトレーダーらしい「素朴な疑問」だ。
とはいえ、今や「政変」といえば、メルケル首相後継に揺れるドイツに、欧米市場の関心は集中している。
ドイツ政界は、乱立気味の政党間の駆け引きによる連立政権樹立の動きだが、日本の政界は与党自民党の構図は変わらず、その党内の派閥争いという特殊性がある。
この「党内派閥の駆け引き」は毎回ながら説明に苦労するところだが、結局「旧態依然」と見られ、「大きな変化は期待できない」との評価になる。
それゆえ、現場の反応としては、日本関連として、ほぼ同じタイミングで報道された「GPIF、中国国債運用見送り」のほうが情報の鮮度もあり注目度も高い。
米国大手金融機関は、米国市場飽和状態のなかで、長期戦略として中国市場進出にしのぎを削っているところだ。
バイデン政権は中国回避・包囲政策に傾斜しているが、トランプ時代でも、米国金融界トップたちの北京詣では続いていた。
そこに、中国と距離も近い日本の公的年金基金が中国回避とも映る運用方針転換に動いたとなると、気になる出来事だ。
たまたま、NY市場内のズーム会議に招待され、日本の政局について説明を求められたのだが、質疑応答では、GPIFの真意を探る姿勢が印象的であった。
そして、ヘッジファンド筋からは、「円安」についての興味が目立った。久しく「休火山」状態と見られていたドル・円の通貨ペアに、米国発金利差要因により円安進行という新たな状況が起こりつつある。
115円程度まで円売りポジションを積み上げ、深追いしてみたいとの本音が透けた。最近はもっぱらドル・ユーロの通貨ペアを荒らしてきたが、その売買サイクルが一巡したところで、格好の標的が現れたと受け止めている。
たまたま29日に開催されたECB中央銀行フォーラムでのミスター・クロダの発言も報道され、FRBの利上げ路線に対して、周回遅れの日銀との認識が市場内には漂う。
ミスター・キシダよりミスター・クロダの名が挙がる場面のほうが多かった。
円安の方向性は共有されているので、あとは市場のモメンタム(勢い)次第だ。
通貨投機筋にしてみれば、後講釈は何とでもなる。行けるところまで行ってみたい。
ユーロ売買もかなり深追いして、臨界点近しとのタイミングで、ポジションを一気にひっくり返した、との思いがある。
円に関しては、日本勢は納得できる理論的裏付けがないと動かない、或いは、動けない。
理屈抜きに市場の流れを重視する欧米通貨投機筋の視点では先手を取りやすいとの見立てが目立つ。
今回の円安の流れも、まずは円売り攻勢の波状攻撃を仕掛け、それでも円安が進行しなければ、早々に手仕舞う展開が予想される。
「まずはnext week (来週)が最初の勝負どころ」
短期売買に徹するヘッジファンドの呟きが印象的であった。
金価格に関しても、円安が進行すれば、円建て金価格には上昇圧力がかかる。
ドル建て金価格にはFRB「利上げ」路線で下落圧力がかかりやすいが、結果的に為替要因で相殺されそうだ。
インフレヘッジの金買いについては、供給サイドの生産制約による物価上昇は来年には終息すると見る。
しかし、インフレ懸念の本丸は歴史的量的緩和政策でばら撒かれた8兆ドル規模の過剰流動性によるマネタリー・インフレだ。
2022年以降、FRBの「資産圧縮」(量的引き締め=購入した国債の売却)の議論が始まると、ばら撒かれたマネーを回収することの難しさが意識されることになろう。
さて、個人的に今日最大の衝撃報道は「大谷(投手)、今シーズン登板なし、最終戦登板を回避」そして「ホームラン王争いトップのペレス48号。あと5試合残して3本差」
うーむ無念残念!!かえすがえすも、オールスターのときのホームラン・ダービー参加がリズム狂わせたね…。
素人目にも明らかに突っ込み気味で右に引っ張り打球が上がらなくなった。
それでも9勝。ホームラン40本以上、打点100近く。盗塁数もトップ級の歴史的記録は残るよ。
まさに野球漫画見ているようなもので、これで、野球漫画の素材がなくなり苦戦しているとの話題もある(笑)