中国の大手不動産「恒大集団」は、かねてから過剰債務、債務不履行リスクが指摘され、市場も身構えてきた。
それが、ここにきて、いよいよ最終段階に入り、デフォルト不可避との状況になっている。
絵に描いたような不動産バブル破綻なのだが、習近平政権としても「大きすぎて潰せない」too big to fail。
おそらく周到に「管理された債務不履行」となろうが、痛みが中国一般国民にも及ぶは避けがたい。
既に、同社に投資する「理財商品」が破綻して、個人投資家たちが本社に押しかけるまでになっている。
巨額のドル建て債務もかかえ、信用不安が世界的に拡散する事態も語られるが、そこまでの危機には膨らまないと思う。
先進国の金融機関はリーマンショック後、リスク管理が厳格化しているからだ。
とはいえ、市場は次の「恒大探し」を始めており、未だ氷山の一角に過ぎない段階だ。
折りから中国マクロ経済指標は小売りなど悪化が顕著である。
中国だけは、テーパリング(量的緩和縮小)の波とは次元が異なる追加緩和必須の状況にある。
この債務不履行問題が現実化した場合、金も「換金売り」の波に巻き込まれ瞬間的にはフラッシュクラッシュで1,500ドル程度まで売り込まれる可能性はある。
しかし、その後、安全資産としての買いが集中して1,800ドルを回復すると思う。
中国情勢は極めて不透明ゆえ、このシナリオは大胆な仮説だが、心の準備だけは怠らぬようにしたい。