今日の一般メディアはNHKニュースがトップで株価バブル後最高値超え。相変わらずこの話題だ。
相場には、理屈を超えた「流れ」というものがある。
買いの流れも一服すると、溜まっていた売りが一斉に噴出する。
今回の日本株ラリーも、日経平均3万円までの第一波は、突然の菅首相退陣による政変が生んだ漠たる「期待」が主導した。
しかし、さすがにいきなり3万円前後まで突っ走ると、政治期待先行だけでは持続力に欠ける。
首相候補者に十分な準備期間なくアベノミクス並みのインパクトある政策提言を求めるほうが無理筋というものだ。
3万円ラインに接近したあたりから、経済メディアでも「過熱の兆し」「売りサイン点灯」などの見出しが目立ち始めていた。
事実、菅退陣表明直後に買った外国人短期投機マネーのなかでは、利益確定を急ぐ傾向も見られた。
そのようなタイミングで、一日感染者数の減少が日々顕著になった。
ワクチン接種も一定の拡大を見せた。
市場には、俄かに経済再開期待感が強まり、第二波の日本株上昇が、昨日今日と3万円台で続いた。
結果的に、日本株上昇主導要因の絶妙なバトンタッチが、買いの流れを支えたことになる。
感染者の急減傾向顕在化が1週間遅れていたら、日経平均3万円台維持は難しかったのではないか。
今後については、良質の外国人長期投資マネーをどこまで呼び込めるか、に尽きる。
これまで参入している「外国人投資家」マネーは、その殆どが、これまでも経常的に日本株市場に関与してきた短期性資金だ。
最長数か月でポジションをひっくり返す「招かざる客」ばかりである。
そもそも今回の日本株ラリーは、例えばウォール街では、昨日までほぼスルーされている。
殆ど話題にさえなっていない。騒いでいるのは日本株デスクだけだ。
経済メディアも、殆ど報じていない。
米国CNBCを夜通し見た日もあったが、ついに日本株への言及はゼロであった。
週明けの昨日、ウォール・ストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズのグローバル市況を読んでも、日本株への言及が欠落、あるいは、僅か一行だ。
本日の欧米経済メディアの論調には注目している。
筆者が参加するNY市場関係者の定例ズーム会議でも、2週連続、話題にさえ上がっていない。
要は読者が興味を示さないので、記事にもならず、日本株見直し機運は生まれない。
次期首相が、アベノミクスのような、大きな変化を期待させるスマートなキーワードを年内を目途に打ち出せるか。
日本という国には「物価が上がらない国」と「少子高齢化の国」という有り難くないレッテルが貼られて久しい。
このマイナス感を払拭できるインパクトを生むには、一か月程度の準備期間では不十分であろう。
今後、コロナ禍改善傾向がより顕在化して、うまく買いの流れが断ち切られない展開になるか。
個人投資家も見極めが必要だろう。