中国の経済指標が怪しい。
7月小売売上高が、事前予測11.5%増を下回り、前年比8.5%増。
鉱工業生産も、事前予測7.8%増に届かず、6.4%増。
既発表の輸出入統計も悪化していた。
中国経済変調の背景は、やはり中国国内デルタ株拡大の兆し。当局は間髪入れず、強力な行動制限。
当然、消費者マインドは冷え込む。
そして、大洪水。国内サプライチェーンが破断され、経済への実害も膨らむ。
更に、中国経済の外需、特に、東南アジア経済が、デルタ型被害で委縮していることも、見逃せない。
但し、市場では、中国人民銀行の金融緩和加速が期待されている。


金市場の視点では、世界最大の実需国としての中国の消費減退は、良い材料とは言えない。
そして、アフガン情勢緊迫。
ここは、国境を接する中国とロシアの関与が最大の注目点だが、両国とも明確な姿勢を打ち出すのには時間がかかるであろう。
米国内ではバイデン政権の汚点になるので、大型インフラ予算案の議会審議に政治的影響が及ぶ可能性もある。
アフガンがテロの温床になる可能性も強いが、市場はテロ関連の材料に対して感覚が麻痺している感がある。
これ自体、怖いことだと思うが、現実的には、テロで金価格上昇というシナリオは、近年、見られない。


コロナにしてもテロにしても、市民感覚と市場感覚の温度差が個人的には気になるところだ。
デルタ型猛威でも米国株価史上最高値更新。
アフガン異変でも市場は動かず。
マーケットのプロとしては割り切って対応するしかないのだが、人間の感情として、無関心でいられることに慣れてしまっているのは自戒すべきと肝に銘じている。
特に、在宅勤務中心になると、どこまでが仕事か、プライベートか、境目がアヤフヤになりがちだ。
セルフコントロール(自制)が問われる。