4日のNY金市場では、朝方に二つの重要経済統計が発表され、金価格1,805ドルから1,830ドルのレンジで乱高下を演じた。

 

kitco

まず、米雇用サービス会社ADP発表の7月全米雇用レポート。
非農業部門雇用者数が33万人増。市場予測65万人を大幅に下回った。前月改定値も68万人だった。5か月ぶりの低水準だ。
この民間雇用統計は、金曜発表の本番雇用統計の前座のようなものだが、市場の注目度は高い。
これを受け、米10年債利回りは1.13%にまで下落。金利下落は経済鈍化を映す現象とされる。
外為市場ではドルインデックスが91.8まで急落。金は一時1,835ドルに迫った。
ところが、その後、市場の景色は急転する。
米サプライマネジメント協会(ISM)発表の7月非製造業(サービス業)景況感指数が64.1と、2008年統計公表開始以来、過去最高の数字となったのだ。
市場予測は60であった。
その結果、米10年債利回りは1.21%にまで急騰。債券市場で、この上げ幅は大きい。
外為市場ではドルインデックスが92.2まで急反騰。金は一気に1,805ドルまで沈んだ。
この事例でも明らかなように、金価格は、米経済統計に一喜一憂する展開だ。結果的には膠着・安定状態が続く。

そして、今週金曜日はいよいよ本番の雇用統計。
これは重要だ。
FRBも、雇用統計を見て、量的緩和縮小議論を進める姿勢だ。
雇用が良ければ、テーパリング年内開始を早める。
悪ければ、延ばす。
特に、労働参加率の減少傾向が、引き続き筆者の注目点だ。
そろそろ米国人被雇用者も、働き始めるのか、まだ、就業を躊躇うのか。市場も注視している。


さて、日本のコロナ対策迷走は出口が見えない極めて危険な状況だ。
五輪の宴が終わったあと、現実と直視する局面が懸念される。
特に若者世代の動きがカギになりそうだ。
いっぽう、オリンピックでは、日本人若者世代の、スケートボードなどでの活躍には勇気づけられる。
立派なスタジアムなど要らない。路上で競えるスポーツ。
選手たちもライバルというより仲間。良い演技には拍手。
失敗には励ます。見ていて清々しい。


なお本日5日の日経朝刊「グローバル市場」面に「米物価高、金現物買い誘う」の記事あり。
筆者のコメントもあるが、現物市場が「中印に続く『第三極に』」というくだりは、私は違うと思う。
米国人に金現物保有志向は低い。
インド中国のような文化的金現物選好度の高さは見られない。