大阪での米中トップ会談の結果はほぼ市場の想定内であった。
とはいえ、会談決裂、対中関税追加引き上げという最悪のシナリオも覚悟していただけに、当面、NY株式市場は歓迎の姿勢だ。
いっぽう、リスク後退で金は1,390ドル台まで急落中である。
想定外のサプライズもあった。
ファーウェイへの禁輸が米国製品で米国安全保障に脅威とならない範囲で一部解除された。
板門店での米中トップ会談も、「握手とハローの挨拶」程度と見られていたが、1時間近くに及んだ。
ときあたかも、米国市民の関心は民主党候補者のテレビ論戦に集中しており、そこに、板門店で米国大統領が国境をまたぎ北朝鮮領内に足を踏み入れる写真が飛び込み、劇的なビジュアル効果が演出されている。
とはいえ、トランプ氏のジレンマは、米中・米朝緊張が緩和されれば、自らが渇望する利下げの確率が低くなる可能性があることだ。
米国の製造業関係の経済指標は悪化の傾向を強めているが、追加関税が回避されれば製造業関係者の抱く不安感も幾分なりと和らぐかもしれない。
市場心理も複雑だ。
トランプ大統領のG20日韓訪問土産は、中国と北朝鮮模様の派手なリボンで飾られたボックスだが、その中身は未だ披露されていない。
今回のG20には参加せず留守番役を務めたカドロー国家経済会議委員長は、米中貿易戦争休戦協定について、極めて慎重な見方を示している。
市場も、中国が米国側の要求どおりに「法改正」にまで踏み込むことはあり得ないと見ている。
ハイテク覇権争いも両国の「核心」に触れる問題ゆえ、もとより、市場が期待するところではない。
北朝鮮が米国が要求する全面非核化に応じるはずもない。
期待のハードルは低く、今後のトランプ・習近平・キム委員長の一言で株式市場の歓迎モードが一気に冷めるリスクをはらむ。
G20終了後、米国の国内政局は一気に大統領選挙ムード一色となり、トランプ・ツイートも有権者を意識した発言が連発されよう。
支持率を上げるためには過激な表現も使われることが予想される。
それが株価を下げる影響があろうとも、トランプ大統領は辞さずの構えだ。
ゆえに、市場も割り切っている。
それより、やはり気になるのは、今後のパウエルFRB議長の発言であろう。
市場が利下げ方向へ先走りする傾向をけん制しつつ、徐々に金融政策の転換に動いている。
大統領とFRB議長の関係が発する不協和音が、中国と北朝鮮からのノイズより強まりそうな7月相場である。
さて、週末にかけ、G20のプレスセンターに行ってきた。
写真がG20土産(笑)
マグカップは、排プラを考慮して、関西地区の紙製。
大阪市内は混乱なく、タクシーも空車が街を徘徊していた。
ホテルなどで客待ち駐車できないので、街中を走り廻っているのだが、客が居ない。
夜になったら、ゴーストタウンみたいになって、気味悪かったよ。
こんな記事の最後にコメントが引用されていた。↓
https://www.sankei.com/politics/news/190628/plt1906280049-n1.html
それから、G20は「歌舞伎の顔見世興行」程度という冷めたコメントも別途引用されていた。
日本のメディアは大はしゃぎだったけど、海外でG20は話題にならず。
だって、昨年12月、アルゼンチンで開催されたG20のことなど、殆ど話題にならなかったでしょ。
あのときも、米中トップ会談で関税合戦に休戦協定が結ばれた。
その後、米国が中国側に、実務レベルでの合意内容を書面で確認したら、中国(具体的には中国共産党)が一転白紙撤回して、今回に至る、という過程だった。