昨晩15日は、まず、パウエルFRB議長が議会銀行委員会で議員の質問に答えた。
最も頻繁だった質問は「インフレは、あなたのいうように、本当に一過性なのか」。
議員たちからは、消費者物価上昇で選挙区の消費者たちは悲鳴をあげている。
なんとかせよ、とのニュアンスが伝わってくる。
パウエル氏は、「消費者物価が年率5%のペースで上昇していることは驚きだ。中央銀行として決して心地よい状況ではない」と語ったうえで、「それでも、経済回復過程の一過性現象」との見方は変えなかった。
もし、この判断が間違っていることが明らかになれば「躊躇なく金融政策を緩和から引き締めに転換する」意志も明らかにした。
なお、テーパリング(量的緩和縮小)については、積極的(active)に検討・議論していると答えている。市場も、テーパリングに関しては織り込んだと言えよう。
そのパウエル証言から2時間後に、米CNBCテレビにイエレン財務長官が出演。「物価上昇は数か月(several)続く」と語り、しかし、パウエル議長と歩調を合わせるかのように、「一過性」と断じた。
昨晩、もう一つの注目点は、米10年債利回りが一時は1.3%の大台を割り込み、1.2%台まで急落したこと。
その理由は明確に指摘できないので「謎」とされる。筆者は、単なるポジション調整で、あまり考え過ぎないほうが良いと思う。
市場は夏枯れ状態で取引も薄い。とはいえ、消費者物価上昇率が年率5%を超えたときに、ドル長期金利が下落するという現象は、不気味だ。金利は経済の体温計ゆえ、最悪「スタグフレーション」の影もちらつく。
物価だけ上がり、景気は良くならないという状態のことだ。筆者は、それは無いと思う。
株式市場では長期金利が下落したのにハイテク株が売られるなど、市場の法則に反する値動きが目立つ。
国際金価格も1,830ドル台で変わらず。上記の状況で方向感が不透明だ。
さて、いよいよ五輪開催時に東京で感染爆発という最悪シナリオになってきて、日本株も、デルタ型不安で売られる状況。
医療専門家が警告したシナリオ通りの展開だ。今は、日本中どこでも、特に理由もなく、感染しても、おかしくないような状況と言える。
医療用マスクして十分が感染対策したつもりでも、どこかに隙があって、感染という事例が20-50台中心に急増中だ。
こうなると、日本人選手の金メダルラッシュで、閉塞感を打開して、五輪後に出直すことを目指すしかない。
行動制限による感染防止は失敗した。あとはワクチン国内供給再開を願うのみ。日本人として腹括るしかあるまい。
責任者云々は、コロナ最悪期が過ぎてからの話だ。
今更、首相や担当相を変えたところで、事態がここまで悪化しては、誰がなっても、「妙案」など無い。昨日の本欄で書いたことだが、自分の命は自分で守れ、ということだ。