米国の物価上昇が加速しています。
5月年率5%に次ぎ、6月は5.4%に続騰。13年ぶりの高水準です。
いよいよインフレ到来か、とも言われますが、実態はコロナ後の経済急回復による一時的現象と筆者は見ます。
最大の要因は中古車価格の上昇。
更に、異常気候による食料品高、原油高、家賃上昇。
更に、これまで安値に沈んでいた航空運賃の急回復。
どれを見ても、今後1年も続く要因には見えません。
現在の「インフレ的現象」が持続するか否かは、一言でいえば、賃金も上がるか否かにかかっています。
やさしく説明してみましょう。
今、例えば、1,000円でケーキが3個買えるとします。
このケーキの価格が5%上がれば、1,000円では3個買えなくなります。
でも、給料が1,100円になれば、楽勝で3個買えますよね。
今の、米国バイデン政権が兆ドル単位の財政ばら撒きをやっているのも、これで経済が上向き、経営者が賃金アップを容認できるようになれば、先の例の1,000円の購買力は維持できる、という考えに基づくのです。
但し、米国経済が、コロナを克服して、本格回復するか否かは未だ、分かりません。特にデルタ型変異種の拡散は不気味でFRBパウエル議長も重要視せざるを得ないほどになっています。
仮に、このまま1,000円ではケーキが3個は買えない状況が続けば、不景気なのに物価だけ上がるスタグフレーションという最悪の結果になりかねません。
スタグフレーションに勝者なし。投資でも全員負けの最悪シナリオです。
そこで、最悪回避のため、米国政権は、最終的にどう動くか。
とにかく米国民に1,000円の購買力は維持できて、なお、増えている印象を与えねば、2022年の米中間選挙、更には2024年の大統領選挙は勝てないでしょう。
結論からいえば、マネーばら撒きを垂れ流しにして、金回りは良い印象を与える、という「マネーインフレ政策」しか選択肢はないと思われます。
マネーばら撒き放題でインフレになり通貨の価値が棄損すれば、政府の借金の価値は目減りします。
インフレはおカネを借りる身には朗報なのです。
当面の財政破綻も回避できます。
しかし、ツケを将来の世代に残すだけの政策です。
このような状況を考えれば、今年は未だインフレが一過性か否かの議論が続くと思われますが、その間インフレの種はばら撒かれていることになります。
臨界点は3年後でしょうか。
その対策としてインフレヘッジで金を徐々に買い増してゆくことも、長期的に続けてこそ、意味があるのです。