スコアつけず飲酒もOKのゴルフ革命、タイガーも主導

筆者がワールド・ゴールド・カウンシルにいた頃は「ワールド・ゴルフ・カウンシル」と言われたものだ。
それほどゴルフ好きである。
今や、女子ゴルフ界では「ゴールド世代」「プラチナ世代」など若手の活躍が目覚ましい。次は「パラジウム世代」か(笑)


また、コロナ禍を機にゴルフが若年層に人気化。
ゴルフ会員権相場も上昇が目立つ。
株式市場でも、松山選手のマスターズ制覇のときにはゴルフ関連銘柄が注目された。
オリンピックでのゴルフ競技も国民的話題になろう。

いっぽう、米国では、6ホールのエンターテインメント化したゴルフ場が人気だ。
スタート前に「とりあえずビール」。
ドレスコードもなく、ジーンズでもサンダルでもOK。 音楽も流れる。
スコアもつけずワイワイやって、最後に待ち受けるのは「スポーツ・バー」。6ホールは名付けて「ビール巡り」。
正統派ゴルファーから見れば、けしからん話のようだが、これが人種を問わず若者や女性層には受けて、米国ゴルフ市場への新規参加者を増やしている。
伝統的なゴルフ人口とは全く異なるセグメントゆえ、ゴルフ市場の拡大に貢献する結果となっている。タイガー・ウッズも、共同経営者として、カジュアル・ゴルフ・チェーンに参加したことで、お墨付きを得た感もある。
カジュアル・ゴルフの形態は多様化している。
打ちっぱなし練習場は、ボーリング場のように、3-4人が交代に打ち、飛距離・方向性などの結果がモニター画面に示される。
使われるゴルフボールにはマイクロチップが埋め込まれ、データが瞬時に測定できるのだ。アウトドアゆえ屋内シミュレーション・ゴルフより解放感がある。
後方のテーブルには飲料・食べ物が豊富に並ぶ。大型スクリーンで参加者の記録を示せば「コンペ」も可能だ。
高級パット・ゴルフ場も人気だ。
「ミニ・ゴルフコース」が、夜間イルミネーションに照らされ、独特の雰囲気を醸し出している。
このようなカジュアル・ゴルフ成長の背景には、伝統的ゴルフがプレーヤーに強いる様々な「ルール」に対する心理的抵抗感も指摘される。
スカートの長さ、ゴルフ帽のかぶり方、ジーンズ禁止、Tシャツのズボンへのたくし込み方などを「窮屈」と感じる人たちは、若者に限らない。
彼らは彼らなりに「伝統的ゴルフ場」とは全く別の世界で自分たち流のゴルフを楽しむ。
おそらく、この傾向に共鳴する人たちは若者以外にも少なからずいると思う。


筆者は、日経本紙のゴルフ関連記事に紹介されたとき、「エンジョイ・ゴルフで、ライバルは妻」との見出しがついた。
週末に仕事環境を離れ、家族とスコアなどつけず、高原の空気や海の波音を楽しむゴルフだ。
いっぽう、伝統的なゴルフ場で、ゴルフ仲間とプレーするときは、きっちりルールとマナーは守る「ソーシャル・ゴルフ」に徹する。
日本のゴルフ市場も、女子プロゴルフ界には「ゴールド世代」「プラチナ世代」など若手の活躍が目覚ましい。娘をプロゴルファーにと願う親の願望も今や珍しくない。
一方で、働く女性の間では、週末、ゴルフウエアのファッションを楽しむカジュアル・ゴルファーも増えている。
新たな市場のセグメントが出現すれば、供給過剰のゴルフ場市場内で、既存ゴルフ場のリニューアルにより新たなゴルフ・スタイルが提唱されることになろう。
打ちっぱなし練習場が、社交の場となる事例も出て来そうだ。


 

日経本紙
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