FOMC後、貴金属全滅

kitco

 

 

金が1,760ドル台。1,900ドルからの急激な下げは「暴落」といえるでしょう。
テーパリングが2021年、金のリスクと年初日経インタビューでも指摘しましたが、私の想定より早く、しかも激しく市場を襲っています。
意表をつかれた感があります。
プラチナ・銀そして銅、原油、穀物に至るまでコモディティ全面安です。
コロナ後の経済回復、需要急増を見込み買われてきましたが、予定より早いペースでテーパリングが進行しているので、売られています。
量的緩和縮小、更には、利上げという金融引き締めへの転換が視野に入ったからです。
株の世界でも景気敏感株が売られています。
外為市場でドル高が顕著なことも、コモディティには売り要因。


ひとつ不気味なことは、ドル金利が上がらず、若干ながら下がっていること。
これは、世界経済成長がコロナ後でも、もたつくことを予測して、債券が売られている、ということでしょう。
金利は経済の体温計とも言われますから。
低インフレ・低金利という現代の経済体質は変わらないようです。
更に、コモディティを投機的に買い上げてきた人たちが、一斉に見切り売りに走っていることも要因の一つです。
金に関しては、金利を生まない資産ということで、利上げが視野に入ると売られやすいですね。
インフレも今年に限っては、FRBが強調するように「一時的」になりそうです。
コロナ後のペントアップ需要が噴出した後は、インフレも沈静化するでしょう。
但し、長期的にはとてつもない財政赤字を日米とも抱えていますから、インフレ必至。
そして、専門的にはインフレ指標であるブレークイーブンインフレ率(BEI5年、10年)が下落して、実質金利が上がっていることも金への逆風として重要です。
いっぽう、インド中国中東などの現物市場では実需が活性化されるでしょう。日本も然り。
この現物要因が下支えになります。


総じて、要経過観察ですが、私の2021年後半の金価格予測も、下方修正を考えています。
もう少し様子を見てから、決めます。
なお、ドル高で円安気味ですから、円建て金価格は相対的に下がりにくい環境でもあります。
私は、本欄で何回も繰り返してきましたが、筋金入りの円安論者ですから、違和感は全くありません。