広東省で変異種拡大、港湾物流に支障、市場も注目

中国広東省は、インド型変異ウイルス感染拡大により、感染が報告されていない地域まで含め、集団検査を強化中だ。
マーケットは、中国の最大輸出入拠点の深セン市で最大規模の塩田港で、国際貨物の業務に従事する人員から感染者が発生、業務が制限されていることに注目している。
8日のNY市場では、外電や米国CNBCが、相次いで、中国からのサプライチェーン一部破断の可能性を報じた。
特に、海上運賃上昇の消費者物価への転嫁が危惧される。
6月15、16日のFOMC、その前の5月米国消費者物価指数発表を控え、市場は神経質になっているのだ。
米国CNBCに生出演したソーシファイ社(サプライチェーンなど助言)CEOは、塩田港の業務は通常の30%程度に落ち込むと推定。
米国への輸出は2週間ほどの遅延が見込まれ、特に、家庭用品、衣料などの価格に影響あり、と語った。
業界紙「シートレード・マリタイム」誌は、大手マースク社の発表として広州・深センの港湾のなかでも特に塩田国際コンテナ・ターミナル(YICT)が、消毒・検疫強化により業務渋滞が激しいと報じている。
同社だけでも34隻が渋滞中という。
既に、米国西海岸港湾では中国からの船舶到着遅れにより重大な支障が生じており、今回のインド型変異ウイルス発生で、更に悪化が懸念される状況である。
NY市場内では、これらの報道に接し「パウエルさん、聞いているか?」との声もあがった。
今回の最新中国事例のように、変異種発生が続けば、コストプッシュ型のインフレも「一時的」といえるのか、覚束ない。
市場内のパウエル不信症が強まっている。
インフレヘッジとして金が買われる状況は中期的に変わるまい。

 

なお、JETROも、中国変異種の件の日本企業への影響について注意を促している。
米感染症関連第一人者のファウチ氏(現政権、大統領補佐官)も、インド型に関しては、米国内リスクを警告している。
NYではマスク不着用になり全面解禁になったが、まだまだ、油断は出来ぬということか。
その渦中で、東京五輪は、カウントダウンに入った。
東京の総人口に比べれば、五輪来日外国人数は小さく影響も限定的との試算も出回るが、あくまで、机上のシミュレーションに過ぎぬ。
試算が外れて、害を受けるのは日本国民である。