五輪強行は壮大な賭け、海外投資家は日本株売り

「テーパリングに目途がつくまでは、株への運用配分を減らす。日本が五輪を本当に開催するなら、まず、保有日本株から売る。日経平均が上がれば、そこで売り抜けたい。」


米国株の変動幅が高止まりするなかで、外国人投資家のなかでは、リスク減らしの動きが目立つ。
そのなかで欧州株の保有は維持するが、日本株は五輪リスクを嫌い、保有株を売りの姿勢が顕著だ。
但し、五輪が終わり、五輪関連材料が出尽くしとなれば、日本株買いも考慮する動きもある。
その理由はワクチン接種の遅れ。
今、欧州株が選好される一つの理由は、接種が進んだ米国株に比し、欧州株は接種による経済効果を未だ充分に織り込んでいない、との発想に基づく。
同様に、日本株も、接種による経済改善効果の織り込みはこれから、というわけだ。
米国経済テレビでは連日、日本と五輪について、報道が流れる。
「日本の医師たちが、五輪中止を要求」
このようなテロップが流れると、日本に関する知見が無い多くの外国人投資家は、見出しを見ただけで反応する。
日本株のイメージも、このような見出しの蓄積により形成されてゆく。
「安心安全な五輪」という表現を英訳して提示したら、一笑にふされた。
東京五輪に対する海外反対論の強さは、例えばFT(フィナンシャル・タイムズ)の読者書き込み欄に顕著である。
「日本、オリンピックという壮大な賭けを強行へ」との見出しの5月9日付の記事には、40を超える書き込みが見られる。
その大半は、「日本の判断に関して理解に苦しむ」というような反対論に満ちている。
このような市場環境のなかで、東京五輪が日本株リスクとして意識されているのだ。