米ワクチン接種加速が市場では新たなリスクに

米国のワクチン接種ペースに足元で鈍化が見られるものの、バイデン大統領は7月4日米国独立記念日までに成人の7割に接種を目標に掲げる。
しかし、市場心理は複雑だ。ワクチン接種加速により、ペントアップ需要が噴出して、インフレ傾向が加速するシナリオが現実味を増すからだ。
ハイテク株には逆風。金には追い風。


11日には、セントルイス連銀のブラード総裁が経済テレビ出演で、インフレ率が2.5%から3%に上昇する可能性を語った。
とはいえ、同氏もパウエルFRB議長も頑なに「インフレは一時的」と繰り返す。しかし市場では、FRB不信論が目立ち始めた。
カリスマ投資家のドラッケンミラー氏は、10日、「FRBの火遊び」という辛辣な見出しでウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿。
ウォール街の話題になった。
米国の経済回復がこれほど好調なのにテーパリングや利上げ議論を封印するパウエル氏の現政策が、制御不能なインフレ、資産バブルを生むとの論旨だ。
これは筆者が本欄で述べてきたシナリオと似ている。
かくして「パウエル議長が判断を誤るリスク」が意識され始めた。


本日発表の米国消費者物価上昇率も、発表時間までのカウントダウンがメディアで表示されるほど注目されている。
国際金価格は下値模索から上値模索に転換中。
そして株式市場ではハイテク株主導で大きな下げが続いている。以下は株の話。


株価もハイテク銘柄がインフレの呪縛に怯える。
しかし、11日にはナスダックが瞬間的に前日比プラス圏に浮上する局面もあった。
対して、ダウ銘柄が売りの標的になった。刻々、市場の流れが変わる。
筆者が注目したことは、アップル株価を巡る「バフェット御大」と「ハイテクの女王、アークETFのキャシー・ウッド氏」の考え方の違いだ。
バフェット氏は、3月27日に公表した年次書簡で、アップルへの投資が1,200億ドル(約12兆7千億円)に達することを明らかにした。
対して、キャシー・ウッド氏は、
「アップル株が悪いとは思わない。しかし、今や兆ドル規模の時価総額となり、我々は次のFAAMGを模索している。現在保有しているアップル株については、現金ポジションと同等に扱っている」
と語っている。
この事例のように、ハイテク株に対する見解も多様化しているのだ。


ところで、「ハイテクの女王」が実はアルケゴスのホワン氏と盟友関係にあったこともテレビ出演で明かし、これもウォール街の話題になった。
知り合うキッカケは、教会関連だったという。
昔の話で、今はビジネス関係がないが、当初は意気投合して運用関連の議論を交わす仲であったという。
「あの事件(アルケゴス)があってから連絡したことはないが、彼の幸福を祈っている(I wish him well)」と好意的な表現で語っていた。
かたや、イノベーションETFで一世を風靡した後、今や、ハイテク株急落で顧客マネー流出という窮地に立つウッド氏。
対して、アジア株運用で名を馳せたが、独立後、大手投資銀行に1兆円以上の損失を与える結果になった策士のホワン氏。
ドラッケンミラー氏が危惧する官製過剰流動性相場を象徴するごとき二人組の苦境は、現在の市場への警鐘となりそうだ。


最後に、非常事態宣言で、飲酒の店に対する規制が話題になっているが、私は20年来、禁酒を続けているので、お店を規制するより、皆が禁酒すればよいだけの話だと思っている。
1か月くらい禁酒すべし!!