アルケゴス関連、モルガンスタンレーも1千億円損失、残る疑念

アルケゴス関連で、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーの米系二社は、いち早く見切り売却処理に動き、軽傷で済んだが、クレディ―スイスと野村HDは逃げ遅れて巨額損失を計上したと思われてきた。


しかし、モルガンスタンレーは17日決算発表に際して、アルケゴス関連損失が9億1100万ドルに達したと発表した。これは市場にとってもサプライズであった。


なぜ、損失を出していたのか、そして発表が遅れたのか。


それは、アルケゴス問題が発覚した3月22日の週に、モルガンスタンレーはアルケゴス関連主要銘柄のバイアコムCBS社株増資の幹事会社となり、同社増資株を売り捌いていたからだ。従って、モルガンスタンレーは増資募集締め切りまで、アルケゴス関連のバイアコムCBS社株式大量売却について待たざるを得なかった。実際にモルガンスタンレーがブロック・ディール(相対大型売買)でバイアコムCBS社株を売却したのは3月28日と、異例の日曜日であった。26日の時点で同社株価は増資発表前の100ドル超から40ドル台にまで急落していた。そこで今回発表の損失のうちの6億4400万ドルが生じたのだ。残りの2億6700万ドルの損失は、バイアコムCBS以外のアルケゴス関連銘柄売却による損失とされる。この部分は3月25日から26日にかけて、いち早く動いたので、損失も相対的に少なく済んだ。


決算発表後のアナリスト向け説明会で、同社は、ウオール街の同業他社がアルケゴス関連で多額のポジションを抱えていたことを知らなかったことを改めて明らかにした。


約1000億円の損失は「悪性の部分の焼灼ゆえ、有益に使われたカネである」と位置付けている。


総じて、問題視されるファミリーオフィスやヘッジファンドを顧客とするプライムブローカー業務に関しては、アルケゴスを「特異な事例」と見なし、両部門ともに、総じて収益は好調ゆえ、今後も継続の方針だ。


とはいえ、同じ時期に、同社引受部門はバイアコムCBS増資の主幹事を務め、プライムブローカー部門はバイアコムCBS株の大量売却に走ったことは事実だ。社内のファイアウオールあるいは証券会社のチャイニーズウオールと呼ばれる「引受部門と営業部門の間に設けられている情報の隔壁」が、今回は裏目に出たのかもしれない。


それにしても、バイアコムCBS株価は、4月16日時点で40ドルを割り込んでいる。割り切れぬ思いの個人投資家も少なくないであろう。モルガンスタンレーの言い分としては、バイアコムCBC株大量売却は遅らせ、その結果、自らも約1000億円の損害を被ったということか。


ここは、「規制の凄腕」とされる新SEC委員長ゲンスラー氏の初仕事になるかもしれない。


最後に、時系列で事実関係をまとめておく。

 

3月22日

バイアコムCBS株増資発表。発表前は同株価100ドル超。公募価格はクラスB普通株85ドル、強制転換権付き優先株100ドル。


同25日

アルケゴス問題発覚


同26日

ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーがアルケゴス関連銘柄巨額売却(モルガンスタンレーはバイアコムCBS株除く)。
バイアコムCBS株価48ドル


同28日

モルガンスタンレー、相対取引でバイアコムCBS株大量売却


同29日

同社株価 45ドル

 

さて、国際金価格は続騰。KITCO 24時間グラフの緑線のように1780ドル突破の場面もあった。要因はドル長期金利下落、小康状態。それにともなうドル安。この二つに尽きる。
 
 

 

金チャート

問題は、ドル金利上昇はここで打ち止めか、ドル安はホンモノか。


米国の経済指標は、先週金曜日にも消費者信頼感指数や住宅着工指数などで絶好調。まだドル金利には上昇圧力がかかる。


KITCO200日移動平均線で見ても、緑色の200日移動平均線より実勢金価格(赤線)は未だかなり下回っている。


とはいえ、底入れを示唆する形になってきた。

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