金ETFから1兆円資金流出(今年1-3月期)
ドル金利急騰で、1-3月期は金が売られ、金ETFからは1兆円近く流出した、と今朝の日経朝刊商品面に詳細に報道されている。
このように、金額表示すると、改めて、かなりのマネーが出ていった、という感じを受ける。(金の果実は例外的にマネー流入継続だ。日本人の国民性として長期保有が多い)。
なお、この統計で注意すべきは、金ETF残高という数字の意味合い。
結論から言うと、金ETF市場の氷山の一角に過ぎない統計だ。
そもそも、金ETF市場では連日、世界中で大量の金売買が行われる。その売りと買いの数字(フロー)を差し引いたネットの数字が、流出・流入量となる。残高とは、あくまで(フローに対して)ストックの統計なのだ。
更に、金ETFを短期で売買する人も、長期で保有する人もいる。これらの質的変化は、把握しきれない。
例えば、今の状況で、短期志向の投資家は売りに回るが、長期志向の投資家は、底値圏と見て買いに入っているかもしれない。この場合、ストックとして見ると、金ETF残高は減っていても、短期保有が減り、長期保有が増えて、需要構造が堅固になっているプロセスと考えられる。そもそも、金ETFは年金が金保有する場合のツールとして開発された経緯もある。
今後の金ETF残高の見通しだが、昨年、安値で買い損ね、後手に廻って儲けそこなったと感じている個人投資家は多い。昨年安値で買って大儲けした投資家もいる。
今後、昨年買いが出遅れたと悔いている人も、昨年儲かって夢をもう一度と再参入する人も増えてゆくだろう。
金ETFからのマネー流出は、1-6月期がピークで、年後半、早い時期にマネー流入に転換してゆくと見る。
なお、年金の金ETF保有は長期ゆえ、この程度の値動きで売り買いするような市場参加者ではない。事業法人でも、短期の値動きには関係なく毎月500万円づつ金ETFを買い増してゆく事例もある。
さて、昨日は、松山フィーバーに陶酔して、仕事へと社会復帰 (笑)したのは、昨日深夜のNY市場から。
そこで、NY市場を見ると、半導体とワクチンを奪い合い競争が目につく。
世界的な半導体不足で自動車製造が一時的停止に追い込まれる事態も。そこで、米国は対中国を意識して、自国内で生産増に動いている。昨日は、関連企業トップを招き、「米国半導体製造復権サミット」がバイデン大統領により開催された。円換算で5兆円の半導体関連予算も計上している。
そして株価と外為相場は、ワクチン接種が早い国が買われ、遅い国は売られる展開に。ワクチン普及を映す展開だ。
更に「変異種相場」の様相も。
パウエルFRB議長も、米国民に「ワクチンで慢心するな。変異種を注視している」と述べた。金融政策も変異種次第のようだ。ちなみにミシガン州は、ワクチン接種より変異種感染スピードのほうが速く、新規感染が最悪の状況で、米CDCは、同州に「地域封鎖」を勧告している。まだまだワクチンが最も早く普及しつつある米国でもこの程度。ワクチン接種で周回遅れの日本は五輪開催が、外国からの変異種侵入の機会になるは必至だ。政府の読みは甘すぎる。