アルケゴス、「野村銀行」が逃げ遅れた真の理由は?

コロナ禍のイースター休暇。大半の市場が休場だが、在宅勤務慣れした市場関係者の間では普段と変わらぬ会話が交わされた。話題はやはり「アルケゴス」。
日々、新たな実態が明るみに出てきている。

 

まず、「NOMURA」(現地ではノムラ・バンク=野村銀行と呼ばれる)が、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーに出し抜かれ、アルケゴス保有銘柄売却に出遅れた理由が取り沙汰されている。
アルケゴスのホワン氏は、2012年にインサイダー事件が発覚してSEC(米国証券取引委員会)から「5年間、ヘッジファンド業務など停止」の処分を受けた。そして5年後、いち早くホワン氏との取引を再開したのがNOMURAとされる。「罪は償った。熱心なクリスチャンで投資収益の一部は寄付している。暮らしぶりも質素に見える」ゆえ、当初は躊躇った本社も最終的には了承したとの当時の関係者発言なども市場に流れている。その背景としては、リーマンブラザースを買収して、NY市場で投資業務拡大を戦略的に重要視した同社だが、投資銀行ランキングでは後塵を拝していた。そこで、社内コンプライアンス上は問題視されそうな人物ゆえ、本社の了承を得るのに時間を要したが、他社に先駆け、取引再開に踏み切ったようだ。ひとたび再開されると、アルケゴスは現地のNOMURAにとって最重要顧客の一社となっていった。

 

いっぽう、コンプライアンス上の問題に縛られたゴールドマンサックスがアルケゴスとの取引を再開したのはごく最近のことだった。最終的には高額手数料の恩恵を無視できなかったと見える。ゴールドマンが動けば他社も追随する。こうなるとホワン氏は、手数料目当ての投資銀行を競わせ、担保率引き下げを要求したという。
結局、ホワン氏がヘッジファンドのアジア株担当者であった頃から現場で人的関係が構築されたNOMURAは、見切りの決断が遅れた。いっぽう、アルケゴス関連では相対的新規参入の米系大手金融機関の担保差し押さえ、当該銘柄売却の決断は早かった。
次に、NY市場の関心は、金融監督当局の調査対象だ。
ここでは「利害の相克」の可能性が指摘される。

 

今回の騒動の発端は、アルケゴス関連主要銘柄のバイアコムCBS(米三大テレビ局の一つを傘下)が増資を発表して株価が急落。同社株の担保価値は大幅に棄損。ゴールドマンサックスが真っ先に巨額相対取引で売却処分に走ったことであった。

 

そのバイアコムCBS増資の目論見書を見ると、主幹事会社として、ゴールドマンサックス、そしてモルガンスタンレー、JPモルガン、シティーグループ、そしてMIZUHOの社名が明記されているのだ。
更に、副幹事会社として、日系では「MUFG」「SMBC Nikko」の社名も含まれている。なお、ここにはNOMURAの名前は無い。

 

そこでNY市場の関心は、ゴールドマンサックスの引き受け部門が、果たして、バイアコムCBS社の実質筆頭株主はアルケゴスであったことを了解・了承していたのか、ということだ。「スワップ取引」と「ファミリーオフィス」という二重の隠れ蓑でアルケゴス社の存在、そして資産運用関連情報は一切表に出ていない。では、社内のアルケゴス担当部門と情報交換はあったのか。
結果的には、ゴールドマンが主幹事役であるバイアコムCBS増資の発表後、ゴールドマン自身が担保として保有していた大量のバイアコムCBS社株を見切り売却した。増資新株を購入した一般投資家も巻き込まれた。金融監督当局も重大な関心を持たざるを得ない状況である。

 

そして、目論見書に名前が出た日系大手の関与の実態も今後明らかになろう。
本日は日経平均が3万円台を回復した。この世界的過剰流動性相場の「影」の部分が、アルケゴスという「シャドー(影の)ヘッジファンド」の一件で明るみに出たと言えそうだ。


今晩のNY市場から本格的に4月相場が始まる。
先週金曜日の欧米イースター休日中に異例の発表となった3月雇用統計の結果は良かったので、薄商いの中で米金利は急騰、ドルも高くなっている。金は売りの展開だが、今週のNY市場に注目。


さて、池江さんが見事なカムバックを見せて、筆者も感激した。こういう展開になると、五輪中止論も唱えにくくなるが、それとこれとは別だ。このまま第四波だが第五波だかに突入すれば、変異種感染の最悪時期と五輪開催が重なるは必定。米国はワクチン接種が現役世代まで拡大中だが、日本は未だ目途立たず。大阪株だとか東京株だとか言い合っている場合か。政治家のメンツが最大の開催理由となり、筆者は非常に懸念している。身近なところでは、私が買い物する大型スーパーでクラスター発生。当分閉鎖に。ゴルフ仲間の多い仙台もヤバイことになった。じわり外堀埋められているような感覚。札幌の夏季サテライト・オフィスも今年はどうなるかな。
 

イチゴパフェ
テレビ出演する豊島氏

なお、久しぶりの写真。久しぶりのイチゴ・パフェ@千疋屋。そして週末、テレビ・リモート出演。朝起きがけのままのヘアースタイルとスーツ・ネクタイの下はパジャマ(笑)自宅からの出演には緊張感が欠けるね。