米成人接種開始の高揚感、テーパリングも早まるか

25日、初の記者会見で、バイデン大統領は、就任後100日で1億回接種の目標を2億回に引き上げた。
更に、バイデン氏が掲げてきた「5月1日までに全成人を接種対象に」との目標も、州レベルでは前倒しで進行中だ。
テキサス、インディアナ、ジョージアの各州は今月中に16歳以上の住民が接種対象と発表した。
ニューヨーク州が接種開始年齢を現役組の50歳まで引き下げを発表したときは、「いよいよ現場復帰」との声があがった。
バイデン大統領は、7月4日の独立記念日に「通常への回復宣言」を目指す。

 

とはいえ、この高揚感を素直に喜べないのが金融市場だ。
ペント・アップ需要が想定より早く噴出する可能性が出てきたからだ。その場合、ドル長期金利2%も視野に入る。「健全な経済回復」と「経済過熱」の分水嶺とされる心理的節目である。

 

「この調子では、6月のFOMCでテーパリングが議論されるかもしれない」との警戒感も強まっている。
パウエルFRB議長は、「年後半に経済が急速に改善して、インフレ指標が上昇しても、それは一時的な現象」と断言してきた。
しかし、今の市場は、パウエル氏が読み違えるリスクも考慮し始めている。
インフレ指標が、例えば年率3%近くまで急上昇。それが3か月続く状況が生じたとして、それでも、パウエル氏は、「一時的」と言い切れるのか。
更に、最も懸念されてきた雇用面でもFRBの想定より早く労働参加率が改善する可能性もある。
同氏は「仮に経済が過熱しても、それに対する手段は持ち合わせている」とも語ってきた。これは、テーパリング予告とも読める。

 

いっぽう、パウエル氏の予測通り、「一時的」に終わるシナリオも注意が必要だ。例えば、9月まで過熱が続き、10月から揺り戻しが生じるとしても、その変化が経済指標で確認できるのは、11月以降となろう。その過渡期には、市場は「テーパリングの呪縛」から抜けきれまい。VIX指数に代表される資産価格の変動率(ボラティリティー)は高い状態が続くであろう。
パウエル氏は「仮にテーパリングの場合でも、緩やかに、十分時間をかけ、市場と対話してゆく」姿勢を強調している。

 

しかし、高速度取引が席捲する現在の市場で、「緩やかな」テーパリング予告など悠長なシナリオは現実的に考えにくい。
テーパリングに関する不確実性を狙って、投機的売買を仕掛けるヘッジファンドも増えるだろう。

 

「テーパリング」というキーワードで自動的にプログラム売買を発動するアルゴリズム取引の存在も要注意だ。
現FRB議長は、コロナという不確定要素と対峙しつつ、「新常態」の市場環境の中で「対話」せねばならないのだ。FRBの歴史のなかでも、パウエル氏は、最も難しい判断を迫られていると言えよう。

 

このような不透明な状況で、国際金価格は1700ドル台前半で膠着。外為市場では円安・ドル高がどこまで続くか意見分かれるところ。

 

そして、人事異動の季節。
コロナでも、異動の挨拶が絶えない。
在宅勤務で、名刺交換の機会も殆どないけど、名刺の肩書は変わったという事例が少なくない。そもそも、入社以来、在宅勤務で、名刺交換などしたことない、という人さえいる。名刺交換アプリはあるけどね。
日本の多くの大手企業は、社内人口ピラミッドが頭でっかちになっているので、余剰人材の受け皿として創設された部門、役職も少なくない。最近の傾向としては、デジタルxxx部門、とか、横文字ネット系の肩書が増えたね。アナログ系のオッサンが職場でいきなりカジュアルな服装に変身してデジタル系になっても、苦労しそうな予感。現場の若手からは、下手に動かれると、かえって支障が出るから、余計なことせず、おとなしくしていて欲しいとの本音も。それでも社内では高給取りだからね~人事とは難しいものよ。

 

最後に、五輪聖火リレー、米国からの反応↓

「リレーの聖火、消すべき」米NBCが寄稿掲載

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG263TT0W1A320C2000000/