バイデン政権3兆ドル第二弾浮上、増税も争点に

1.9兆ドルの大型コロナ救済追加経済対策に続き、選挙公約のインフラ投資を中心にした第二弾の景気浮揚財政出動の規模が市場では新たな金利上昇要因として注目されている。


22日にはNYタイムズ紙が「3兆ドルに達する」との観測記事を流し、市場の話題になった。ホワイトハウスのサキ報道官は「様々な選択肢を考慮中ゆえ、未だ時期尚早」と述べている。マーケットは「考慮中」という言い回しに、近々発表かと身構える。今週内にも、との観測も出始めた。

23,24日に予定されているイエレン財務長官とパウエルFRB議長の議会証言でも、この問題に関する質問が出るは必至の情勢である。「イエレン氏が語る、財政は大胆に。Act Big!とは追加的3兆ドル支出を考慮してのことか」「パウエル氏のこれまでの発言は、3兆ドル追加支出でも変わらないのか」
既に10年債利回りも時間外で1.7%に再接近中だ。
仮に本当に3兆ドル規模で決まれば、2%突破という展開も考えられる。年内テーパリング開始も現実味を増すだろう。

 

第二弾は、インフラ投資に加え、教育、雇用、気候変動、そして5Gなど中国を意識した産業補助と対象分野も広い。道路、橋、鉄道、電力関連のインフラ投資だけでも1兆ドルは超えそうだ。雇用についても、大統領選挙中に製造業の先端産業で5百万人の新規雇用創出を掲げた。女性雇用増も必須だ。3兆ドルという数字の真偽はともかく、第一弾の1.9兆ドルに劣らぬ規模になることは間違いなかろう。
この規模の予算案をまとめて議会を通すことは現実的ではないので、分野別に分けて議論を進める案が有力視される。


第一弾は、財政調整法という「最後の手段」で民主党が強行採決したので、今回は共和党への配慮も滲む。民主党内でも異論があり、バイデン大統領は第一弾にも増して難しい調整が強いられよう。
更に、市場が恐れるのは、いよいよ待ったなしとなる「財源問題」だ。トランプ法人減税のリセット、米国企業の海外収益への課税強化、富裕層への所得税増税案がいよいよ議論されることになろう。具体的には法人税は21%から28%へ増税。年収40万ドル以上の高所得者に最高税率を37%から39.6%に引き上げ案などが挙げられる。


これは、株式市場も未だ織り込んでいない問題だ。特に、富裕層の株式売買益に39%前後課税する案は株価への直接的影響必至である。
共和党側は、道路、下水などインフラ投資や、雇用増のための職業教育などに関して異論はないが、増税には強い反対姿勢を示している。


「4-6月相場は、この問題でかなり荒れそう。株の宴には参加するが、出口に近いところで踊るよ」

あるヘッジファンドのつぶやきだ。
市場も大荒れ覚悟の様相である。
これは、金市場に大きな要因となろう。名目金利急騰で短期的には下げ要因だが、国の借金が益々膨れ上がり、ドルの価値が希薄化するという面では中長期的に上げ要因となるは必至。これほどの借金は、まともな手段で返済は不可能だ。国のインフレ策で借金の価値を薄めるしか方法はあるまい。金は3000ドルへのスーパーサイクルに入ったとの筆者の見解を裏付ける展開だ。但し、短期的に4-6月期は金価格のボラも激しくなるだろう。