五輪開催こそリスク、海外投資家の視点
バイデン政権が、1.9兆ドル規模の対コロナ救済財政投入を「強行突破」した後、「その財源=増税」という課題が浮上してきた。そこで、NY市場では、米国株以外の「外国株」への分散が検討される動きが顕在化している。
「1.9兆ドル(約200兆円)の2割近くが株式市場に流入するとの試算もあり、新たな投資先を模索中だ。日本株も興味深い選択肢だ」
「但し、ジャパン・リスクが気になる。それは五輪開催強行。」
「無謀な選択だ。五輪開催国でワクチン接種が周回遅れの後手に廻っている。変異株リスクも欧州で猛威をふるっている。報道によれば、日本人の7割は開催反対だそうではないか。国民的高揚感がもたらす効果も期待できない。無観客では直接的経済効果も削がれる。」
最近、ウオール街で「日本」の存在がクローズアップされている。
ドル金利急騰のなかで、日本のGPIFや生保などが、米国債の買い手となり、金利の乱の平定役を果たすことが期待されているからだ。FRBが経済過熱リスク漂うなかで、米国債購入を増やす状況にはない。逆に、国債購入縮小リスクが懸念されている。中国は最近、ドル離れ志向強めるなかで、米国債保有も緩やかに減らしつつある。
かくして、日本の存在感が高まり、副次的効果として、これまで日本株に興味を示さなかった投資家たちが、この機会に、日本株の「点検」を始める事例が出てきた。
そこで、冒頭に紹介したようなコメントが聞かれるのだ。
東京五輪といえば、当初は、その経済効果が期待される反面、五輪後の落ち込みが危惧されていた。
しかし、今や、開催そのものがリスク視されている。
五輪という不透明要因がなければ、年金や生保の期末リバランス売りで下がったところは買いたい気持ちが透ける。
政治面では、今週、バイデン政権新国務長官と新国防長官の初めての外国訪問先が日本開催の2プラス2になった。菅首相がホワイトハウス初のトップクラス外国人賓客になる。日本重視の姿勢が鮮明だ。
そこで市場の視点だが、日本が地政学的リスクに晒されるリスクを計りかねている。香港・台湾問題で中国に強く反発するバイデン政権にとって、日本は極東の最後の砦との認識が伝わってくる。韓国には北朝鮮リスクがつきまとう。
そこまで議論してくる姿勢に、日本株に対する本気度は感じる。
いまや、世界中、投資先の各国が様々なリスクを抱える中で、ジャパン・リスクが相対的にどのように評価されてゆくのか。
「ベストの国はない。ベターな国を探している」
減点が少ない国からグローバル投資が展開されてゆきそうだ。
さて、今日の日経朝刊マーケット面記事。
「金、投機筋の買い越し残高減、NY市場、1年9か月ぶりの低水準」
要は、先物では、見切り売りと空売りが増えたということ。
マーケットアナリスト豊島逸夫氏は「米金利の動向次第では金相場の下落を予想する投機筋が増加して金の売り越しに転じ、短期的な相場の下げ圧力が増す可能性がある」
とコメント。
底値圏で、世界的には先物の売りと現物の買いとETFの売りが拮抗している感じ。