黒田発言、米株価急反発の要因に

週末に1.9兆ドル規模追加コロナ対策に議会通過の見通しが立ち、昨晩NY市場寄り前には10年債利回りが1.6%を再突破していた。ダウ時間外でもマイナス圏で推移していた。


そこに著名投資家デビッド・テッパー氏がメディア経由で発言。
「大きなリスクは除去された。今、株価に弱気にはなれない」と強気の見解を述べた。


その理由として、日本人機関投資家が米国債買いに走り、10年債利回りも現水準で安定方向に向かう可能性を指摘した。


特に「長期金利変動幅を大きく拡大することが必要とも思っていない」との黒田日銀総裁、衆院財務金融委員会での発言を重視。日本の生保など機関投資家は、今後、米国債購入に動かざるを得ない。為替ヘッジコストも含め、彼らにとって、非常に魅力あるイールド(利回り)になるからだ、と述べた。


このカリスマ発言は、ウオール街でも、ただちに話題になった。


テッパー氏の発言で株価が動いた事例は少なくない。


特に、週明け、長期金利上昇により市場が方向感を失っていたタイミングでのカリスマ発言なので、格好の買い材料となった。ダウ平均も、マイナス圏からプラス圏に転換。その後、上昇してダウ306高で引けた。金は1690ドル近傍で推移。


日本人の視点では、米国のカリスマ投資家が、週明けの日本市場をフォローしていることは興味深い。


なお、市場の関心は次に控えるバイデン政権のインフラ・グリーンエネルギー関連「景気刺激策」に徐々にシフトしている。まだ、実質的に白紙に近い状態だが、1兆ドル規模の追加財政出動となる可能性もあり、ドル金利への影響も懸念される。民主党は、コロナ救済案を単独強行採決したので、今回の景気刺激策は極力共和党と話し合いの姿勢を見せている。それゆえ時間はかかりそうだ。


仮に、更に1兆ドル財政投入が追加された場合、それでも、テッパー氏の予言どおり米10年金利が基本的に安定化の方向で収れんするのか。そのレベルは1.5%なのか、1.8%なのか。2%ともなれば、さすがに、FRBも動かざるを得まい。


カリスマのご託宣が試される時期が来そうだ。


金利に敏感なNY金市場も興味津々だ。