米証券取引税も、若者投資家自殺、規制強化へ
ロビンフッド証券顧客の米国人若者が昨年自殺。今回の交流サイト系個人投資家の乱が社会問題化するなかで、家族が訴訟を起こすに至った。なぜ自殺にまで追い込まれたのか。どうやら「勘違い」らしい。売買報告書に、利益と損失が併記されているのだが、「損失」の項目に円換算7000万円近くの金額が記されているので気が動転したようだ。早速、ロビンフッド証券に電話連絡を試みたが、「自動電話対応」。絶望して自殺に至ったようだ。非対面ビジネスで起こりがちな経緯だ。新規申し込みの対応は簡便なのだが、解約・問い合わせとなると一転、不便になる。米国の場合、そこで訴訟に持ち込むと弁護士費用が膨らむ。それでも敢えて訴訟を起こしたことに、憤懣やるかたない家族の気持ちが伝わってくる。PTAの立場では「自慢の息子が自宅の地下室に籠り、何をやっているのかと思えば、投資家交流サイトにはまり、赤いバンダナの「レジェンド」とやらに煽動されていた」との認識になる。初心者が、いきなりオプション売買という中上級編から入るような投資は規制すべしとの議論も強まる。
バイデン政権も無視できない展開だ。そもそも民主党は市場規制志向が強い。とはいえ、今回は、事情が異なる。ミレニアル世代中心に若者が投資に参加することは「株式市場の民主化」とも位置付けられているからだ。背景には、ウオール街のエリートや富裕層だけが恩恵を受けているとの反発感がある。そこで結束した交流サイト系若者投資家たちに動きに規制のメスを入れれば、「炎上」は必至だ。アプリから入れて手数料が無料のロビンフッド証券も当初は「株式投資民主化の旗手」「庶民の味方」とされた。しかし、そのビジネスモデルは、個人投資家からの売買注文を値付け業者に丸投げして受け取るリベートに収益構造が依存する構図であった。一転ウオール街との癒着疑惑が生じ、「赤ずきんの正体は狼か」と語られている。
そこで、バイデン規制の初手は、ネット証券業界が視野に入る。具体的には株式など証券売買に一律0.1%の取引税を課税案がワシントンからは聞こえてくる。ロビンフッド証券がロビー活動機関と契約して動き始めたので、情報がリークされてくるのだ。「株、債券、デリバティブ取引に0.1%課税」は民主党議員提出の「2019年ウオール街課税案」に明記されている。更に、バイデン大統領は、「株式売買益に39%課税」を選挙運動中には語ってきた。ここでも一定年収以上の富裕層に限定して課税する案の現実味が増している。
とはいえ、コロナ禍の真っただ中で「規制強化」に動けば資産価格暴落の可能性もある。負の資産効果の消費・雇用への悪影響も懸念されよう。民主党側の視点で深読みすれば「だからこそ、追加経済対策として1.9兆ドルが必要なのだ」との議論になるのかもしれない。
更に現場目線では、自らリスクをとって売値買値を常に提示する値付け業者(マーケット・メーカー)なしで取引は成立しない。低い手数料、売買注文の確実な執行、市場の流動性確保の3点を満たす妙案を捻り出すことは難事だ。
さて、今日の新聞記事で筆者が最も注目したのが「富山県氷見の寒ブリ、寒ヒラメ、寒タラなど今年は豊漁で良質」との日経商品面報道(笑)自粛で鮨屋へ行く回数も減り、食道楽の筆者は我慢。国会議員とは違う行動様式!そこに、この記事。富山湾はその形状から「天然の生け簀」と言われる。1000メートルもの水深に立山連峰から滋養たっぷりの清水が流れ込む。水深100メートルごとに異なった地魚が住み、筆者が通う店では5-6種類の旬の地魚をあれこれ出してくれて感激。普通の回転鮨でも北海道と同じで種類多く鮮度も高く安価。エチオピアという名前の珍しい地魚まである。書き出すと止まらないから、この辺で止めておくが、書きつつ、徐々にコーフンしてきた。冷静な市場分析との差が鮮明といえよう(笑)
今年は北海道の大好物タチ(タラの白子)も食べ損ねた。東京で供されるタチとは異次元の世界。ブツブツ。。。。