ヘッジファンドがドル売り、円買い、金買いのトレードに動いている。
その背景はこうだ。
年内利下げ確率を見ると、3回が35%で主流となってきた。2回が20%、1回は11%である。
総じて、年内利下げ確率は76%に達する。
5日もADP雇用レポートが前月比2万7千人増となり、9年ぶりの低水準となるや、利下げ確率が上昇するという一幕もあった。
今晩発表される本番の雇用統計との相関がぶれるので、信頼度が高いとは言えない経済統計にも、市場が過敏に反応している。
利下げ年内3回ともなれば、年初1月3日の「フラッシュ・クラッシュ」で瞬間的につけた104円台が再び試される展開になる可能性がある。
特に、日銀の緩和政策の限界が顕在化しており、日米金利差拡大が予想される。
最近のウォール街では、主要中央銀行の緩和競争が話題となり、米国の政策金利が2%前半なので、もっとも緩和余地ありと判断されている。
それゆえ、日銀は緩和負けと言われるのだ。
ヘッジファンドも次の標的のひとつとして円に照準を合わせる。
円高バイアスが強いのは、円が安全通貨としても買われるからだ。
金利差要因に加え、地政学的要因が勃発すれば、円高圧力は更に強まる。
振り返れば、昨年は年間利上げ回数がもっぱら材料視された。
今年年初でも、2019年内利上げが2回か1回か「無し」か議論が割れていた。
「場合によっては利下げも」という程度の扱いであった。
それが、今や、利下げ回数が市場変動要因となっている。
但し、利上げ確率そのものも変動するので、要注意だ。
大阪G20で、万が一、電撃的米中手打ちがあれば、一挙に利下げ期待は急低下しよう。
そもそも冒頭に示したように、経済統計一つで振れている。
従って、日米金利差に基づく投機的円買いも、超短期筋がボラティリティを高めることになりそうだ。
なお、長期的な円安トレンドは変わらない。筆者は筋金入りの円安派。あくまで2019年相場は円高気味という話である。
そして、ヘッジファンドにはドル売り、金買いのトレードも目立つ。
特にトランプリスクに対するヘッジとして金を買う傾向がある。
トランプが大統領として支配する国が発行する通貨より無国籍通貨=金のほうが安全という発想である。
更に、現在進行中の金価格上昇は、世界の中央銀行が緩和に走るなかで、金融政策不信を映す現象とも言えよう。
利下げ3回なら、1,400ドルを試す展開も。
今日の写真は福島、ボナリ高原ゴルフ場。パー3のある湿原の花々が今年は特に綺麗。冬はここがスキー場になる。