金、欧米ファンドも触手、将来のインフレに備え
首題の記事が22日土曜日日経朝刊マーケット面に載りました。
カリスマ投資家レイ・ダリオ氏率いる世界最大のヘッジファンド=ブリッジウオーターが金ETF保有を今年4-6月期に35%増やし、11.8億ドル相当の残高になったほか、他のヘッジファンドも相次いで増やしたことが、米国証券取引委員会への四半期保有銘柄報告書で明らかになった、という内容。
金嫌いのバフェット氏が金鉱株(バリック)を買ったことも市場に波紋を広げています。レイ・ダリオ氏も投資家への影響力が強い人物ゆえ、これまで金投資に足踏みしていた人たちが、「お墨付き」と受け止め、新規参入してくる可能性が強いと思われます。
レイ・ダリオ氏の場合は、明確に、財政政策と金融政策が一体化して、インフレ懸念を誘発している、と述べて、インフレ・ヘッジとしての金保有を推奨し、且つ、自ら実践してみせているのです。
なお、ブリッジウオーターはグローバル・マクロ系と呼ばれるヘッジファンドで、中期的な世界経済政治情勢を読み、投資してくるので、金ETFも2-3年に亘って保有します。
しかし、一般的にはヘッジファンドは決算期までには処分することが多いので、プロの視点では、彼らが、何時、利益確定売りに走るか、に注目しています。特に11月には米大統領選挙で「材料出尽くし感」が強まる時期で、かつ、多くのヘッジファンドの決算期にもあたるので、要注意だと見ています。
バフェット氏に関しては、なぜ、金嫌いなのに金鉱株を買ったのか、いずれメディアで語るでしょう。私の想像では、彼は株式至上主義ですから、バリック社の株式を買ったので、金を買ったわけではない、と説くと思います。金鉱株なら配当もつくので、バフェット流投資法でも正当化されるわけです。但し、金鉱株は、社長が子会社でテーマパークなどに手を出して大損して、金高騰の旨味を投資家が享受できなかった、などの事例が多く、マネジメント・スキル=経営手腕という要素が重要になります。