感染再拡大、金2000ドル接近
注目のFOMCは特にサプライズなし。総じてマーケットは反応薄でしたが、2000ドルを目指す金市場は、FOMC声明文発表直後1954ドルから1960ドルまで上昇。その水準が引けまで維持されました。超金融緩和継続による買いの安堵感が目立ちます。昨日はアジア時間帯での大きな価格波乱は起きませんでした。
さて、店頭では、さすがに個人顧客からの金買い取りが増えています。最高値更新ということは、過去に金を買ったひとは全員儲かっているわけですから、個人の売りが増えるのは当たり前と言えるでしょう。特にコロナ禍で売り上げが「消失」した状況では、まずは現金が必要ということで、切羽詰まった換金売りも増えるでしょう。
いっぽう、この高値圏で、買う個人も増えています。新規参入してくる人は、最初に金市場の出会いが6000円台ということで、「高所恐怖症」はあまり感じられません。これからコロナ情勢はもっと悪くなると覚悟のうえで、財産を自衛する手段として金を買っているのです。FOMCでパウエル議長も「今後の金融緩和はウイルス次第」と冒頭に明言していました。
それにしても、日本の感染拡大も、東京一極集中から、一気に次元が変わりましたね。仕事柄、欧米の感染対応を見てきたので、日本の対応は、本当に「曖昧」だと感じます。「自粛」という曖昧な表現で国民の良識に訴えることしか出来ない。法的強制力はない。これで第一波を切り抜けることが出来たことが、一時は海外でも「日本モデル」として注目されましたが、「単なるラッキー」という醒めた見方も多く見られました。筆者も、メディアで「第一波に対する対応が曖昧なので、第二波を迎えたときに学習効果が期待できないリスク」を語ってきました。それがNY市場では日本株を買わない要因の一つとされていたのです。更に「NY型アウトブレイク(感染爆発)」のリスクも語りましたが、これが今や日本円の買いに歯止めをかける要因の一つとなっています。外国人投資家による日本株売りを誘発するでしょう。先週BSテレ東「日経モーニングプラス」で日本株に関して厳しい見通しを語ったのも、このような背景あってのことでした。
更に日銀株ETF買いが日経平均を4000円ほどかさ上げしている、とのヘッジファンドの見方も紹介しました。官製相場に欧米投資家は寄り付きません。ユニクロの筆頭株主が日銀になるかもしれない、という状況は、「不思議の国のアリス」とNY市場では表現されています。今朝の日経朝刊「社説」でも警鐘を鳴らしていますよ。今週発売の週刊エコノミストでも、筆者は中央銀行頼みの株式市場=中央銀行の罪、を語っています。
ここにきて、日本市場内でも株に対する警戒感が強まっていますね。
高値圏でも金を買う投資家心理には、このような株式市場への警戒感も影響していると感じています。