ワクチン開発進む、市場の反応に変化
まず、明日22日水曜日朝7時台のBSテレ東「日経モーニングプラス」に生出演して、金と日本株について語ります。1時間番組のなかで12分程度。
それから、本日発売の日経マネー最新号、筆者コラム「豊島逸夫の世界経済深層真理」では、「今、金市場に何が起こっているのか」について書きました。
さて、昨晩NY市場の話題は、英国製薬大手アストラゼネカ社とオックスフォード大学の共同開発によるコロナ・ワクチンの初期臨床試験で、強い免疫反応が確証されたとの発表。全年齢層にわたる1077人に投与したところ、ほぼ全員の体内で抗体が生成されたとのこと。日本への同ワクチン供給も1億回を念頭に日本政府と協議」とされます。
極めて良好な途中経過ゆえ、これまでの事例では、NYダウが500ドル程度急騰しても不思議はないところですが、昨晩は僅か8ドルの上昇に留まりました。
ワクチン開発に関しては、色々な治験結果が発表されており、材料として陳腐化した感が否めません。このアストラゼネカ社のワクチンも最速6か月で実用化を目指すというのですが、その6か月を、果たして、コロナ禍中の企業が凌いで生き残れるか、との疑念も出始めています。昨晩も、ワクチン開発で経済が再開の見通しが立てば、持ち直すはずの航空会社やクルーズ船、リゾート系企業などの株が、売られてしまいました。
対照的に、アマゾンの株価は一日で8%高、テスラも9%高と、勝ち組の銘柄はバブルのごとく買われています。ハイテク中心のナスダックは連日、過去最高値を更新するほど。コロナ・バブルの様相です。
そして、金価格は、ワクチン開発で売られるはずが、買われて、一時は1820ドル突破の場面もありました。もはや1800ドル台の値動きとなっています。今後は、米中関係激化、米大統領選挙などが金価格を動かす材料となりそうです。ポイントは残高が年間金生産量(3400トンほど)に匹敵するまで積みあがった金ETFが、いつ売られるか、というところでしょう。残高の半分近くはヘッジファンドなど売買差益狙いの市場参加者により買われていますから。但し、売る人あれば、買う人もあり、新規参入の市場参加者も増加傾向にあります。その人たちは、売られて価格が下がったところを狙って買いを入れると思われます。
さて、メディアからの取材が連日続いていますが、彼らの間でも感染者が出始めて、殆どが電話・リモート取材となっています。今や、どこにいるか、は問題ではありません。いるところのネット環境が最重要になってきました。大手町・丸の内でも古いビルの奥まった会議室などでネット送受信が途切れる場合もありますし、裏磐梯高原の山中でも「圏内」であれば普通に仕事が出来ます。とはいえ、リモートで語ると、8割は伝わるのですが、2割ほど伝えきれない部分もあり、隔靴掻痒の感も拭えません。対面で話すときの目線、ジェスチャー、雰囲気、臨場感などは、言葉で表せませんからね。あらためて「コミュニケーション」の難しさを痛感することも少なくありません。