日銀とヘッジファンドのせめぎ合い
今日は日本株の話。
海外ヘッジファンドが売りの照準を日本株に向けつつある。
日本株市場は外国人勢が動かせるとの読みがあるので、売りのモメンタムが顕在化すると、勢いに乗るトレンド・フォローの動きに傾きやすい。日本人個人投資家がインバース型ETF(株価が下がると儲かる商品)を好むことも承知のうえだ。現状では既にかなりのインバース型残高が蓄積しているが、相場が下落すれば、新たな売りの仕掛けも出やすいと見ている。
特に、今回の市場の「テーマ」は「第二波」だ。
日本は第一波を少ない死者で乗り切って「日本モデル」として注目もされたが、検査数も少なく、「成功の理由」が未だに釈然としない。それゆえ、第一波の教訓を生かして第二波に対応するにあたり、不安感が残る。このような認識から、日本株が狙われやすいのだ。
ヘッジファンドからの問い合わせも急に増えてきた。日本の感染者状況、コロナ対策などを確認してくる。
但し、彼らの目論見に一定の抑止効果を発揮しているのが「日銀のETF買い」だ。株価が下がると、日銀が株ETFの買い介入を実行して株価を支える構図だ。官製相場ともいえる。
ヘッジファンドの売りが日銀の買いを押し切るかたちで日経平均も急落したり、日銀の買い出動が勝り、日経平均が急騰したり。
ここしばらくは、日銀とヘッジファンドのせめぎ合いが市場で展開されそうだ。
それにしても、今や、日銀は最大の日本株株主。公的年金GPIFをも凌ぐ。日銀とGPIFで二頭の鯨とも言われる。
例えば、ユニクロの最大株主は日銀となった。
FRBやECBは株購入はやらない。日銀だけだ。欧米市場では自由取引市場に中央銀行が介入することを嫌う。禁じ手とされるほどだ。
それほどに日本は特殊な市場なのだ。
筆者は、日銀が株ではなく、金でも買えば良いと思っている。日本の公的金準備は異常に少ない。代わりに外貨準備として米国の借金証文である米国債を保有しているのが実態だ。米国に配慮してのことである。対して、中国も巨額の米国債を保有しているが、近年、公的金準備も増強させている。日本との対比が鮮明だ。