支持率低下のトランプ、上昇のメルケル
中国は案の定、米中貿易第一段階で合意したはずの、米国産穀物輸入が約定通り実行できない可能性に言及し始めました。
いっぽう、トランプは中国からのフライトを禁ずる措置を検討中です。
米中関係悪化はエスカレートするばかり。
大統領選挙を控え、トランプも国内向けに対中非難攻勢を強めています。
米国内デモ略奪については、トランプが「州が制圧しなければ軍を投入する」と語りましたが、その軍を指揮下に置くペンタゴン(防衛省)トップは「軍隊投入」に否定的見解を出し、トランプ政権内の亀裂が顕在化しています。
トランプの対デモ強硬措置について、米国の調査によれば、米国人のなかで賛成35%、反対65%とトランプ不利な状況です。
米国大統領選挙もどちらが勝つか、情勢は混とんとしてきました。
これだけ心配事が絶えないのに、株は連日の高騰。
結果的に、黒人死亡事件がキッカケとなり、株価が続騰という形勢になりました。
はっきり言って、私もなぜここまで株が買われるのか釈然としません。多くの投資家も戸惑っています。とはいえ、株急騰は現実なのですから、受け入れざるを得ないでしょう。
世界的にリスクオンになっています。
欧州でも、EUが巨額のおカネを借り、それを南欧諸国などコロナで経済が危機的な国に「補助金」として与える案が具体化しています。これまで、ドイツが断固反対してきました。南欧など経済脆弱な国を救済するにあたって、ドイツは結局最大のカネの出し手となることに独国民が強く抵抗してきたからです。しかし、今回はメルケル首相のリーダーシップのもと、ドイツも遂に賛成に廻ったのです。EU分裂を回避するためです。更に、財政赤字を極端に嫌うドイツが、大型財政支援第二弾にまで踏み切ったことも注目されています。一時は支持率が30%程度まで落ち込み辞職の意向を示したメルケル首相ですが、コロナ対策が評価され、支持率も一転60%以上に急騰。辞職路線は変わらずとも「花道」を飾っている感じです。こういう危機的状況になると、最後に頼りになるのは実績があるトップなのですね。ちなみに、この材料でユーロが買われています。久しぶりのことです。欧州経済への期待感が強まっているのです。これも世界的株高の一因となっています。
こうなると、安全資産=金の出番が若干薄れた感じは否めませんね。1700ドル割れまで金価格は急落中。やはり1700ドル台は警戒水域のようです。