「中東に石油あり、中国にレアアースあり」
小平元国家主席の言葉です。中国は、戦略資源として、レアアースの採掘、半製品への加工の過程を育成してきました。
レアアース(稀土)といっても、文字通り、ただの土に見えます。
しかし、精製すると、IT産業や軍事産業には必須のレアメタルが抽出されるのです。
中国がダントツの生産国で、米国は、最大級のユーザーで輸入の8割を中国に依存しています。
そこで、今回の米中貿易戦争がエスカレートするなかで、中国は、レアアース禁輸という「伝家の宝刀」をちらつかせたのです。

習近平国家主席が20日に、レアアースの主産地、江西省の有力磁石メーカーを訪問、激励することで、間接的に、「この存在を忘れるな」というメッセージを発したわけです。
人民日報も「我々が警告もしなかったとは後になって言わせない」と刺激的な表現で威嚇しています。
この表現は、過去2回だけ使われています。
60年代の中印国境紛争と70年代中越(ベトナム)戦争のときです。
かなり挑発的ですよね。市場も敏感に反応します。
米国側はアキレス腱を突かれたので、とりあえず、追加関税リストからレアアースは外しました。
いっぽう、中国もむやみに強気には出られません。
米国がレアアース最大の顧客なのですから。
顧客が、レアアースの供給ルートを変更して中国抜きに動くか、あるいは、レアアースを使わない技術開発に動くかもしれません。
実際に、尖閣諸島問題が勃発したとき、中国は日本向けレアアース輸出を規制しましたが、その結果、日本側の企業は中国抜きの体制に切り換えたという事例もあります。
ちなみに、習近平国家主席は江西省を訪問したときには、「我々はかつての長征の出発点にやってきた。いままた新たな長い道のりが始まった」と鼓舞発言しています。
長征とは、国民党軍に敗れた中国共産党が拠点としていた江西省を放棄して、1934年から2年かけて1万2,500キロを徒歩で移動したことです。
時あたかも、天安門事件30周年の関連行事が意識され、愛国心が刺激されやすい状況です。
習近平国家主席も国内向けに軟弱な姿勢は絶対見せられません。
市場は、この緊張感をヒシヒシ感じて、マネーが安全資産に逃避しているのです。

そして、今日の写真は採りたて山菜の天ぷら。
新鮮な山菜はこれに限るね!
私は酒は飲まないけど、スポーツで汗を流して、温泉に入って、夕食にこれが供されたりすると、さすがに「生ビール飲みたい」という気持ちになるよ(笑)

 

 

てんぷら