最近、実物資産として不動産関連から金へ乗り換えたいという相談を受けるようになりました。
思い起こせば、関西大震災のときにも、投資用マンションなどが全壊して「不動産神話」が崩壊。
金へマネーが流入したことを思い出します。数年前のことですが金購入者の購入理由リサーチで、関西地区に限り、「燃えない資産だから」という答えが未だに3位とか4位に入っていて驚いたこともあります。
そして、今回のコロナショックで不動産市場は大きなダメージを受けています。
リート(REIT=不動産投資信託)の価格など、公示地価公表時点(3月18日)の半値前後まで下落の事例も見られます。
都心のマンション価格も株価下落の影響をもろに受け、下げています。中古市場では、かなり値下げしないと売れない状況です。
新築マンションのモデルルーム来場者数も8-9割激減とのことです。一戸建ても不振。
「タワマン暴落」などのセンセーショナルな見出しが目立ちますが、そこまでゆくと、かなり煽り気味。
更に、都心から30-40キロ圏内の所謂「ベッドタウン」と呼ばれる地域にも新たな問題が発生しています。
土砂災害警戒区域、浸水想定区域に指定された不動産が増えていることです。
埼玉県ではさいたま市、川越市、志木市、春日部市。
千葉県では松戸市、柏市、流山市。神奈川県では横須賀市、相模原市、藤沢市などが、「居住誘導区域」を指定していますが、あらためて災害リスクが再検証されています。
地域により、不動産価値の乖離現象が顕在化しそうです。
かくして、コロナショックで急騰中の金と急落中の不動産の対比が鮮明になってきました。
コロナ禍の前の話ですが、上信越圏の金セミナーで講演したとき、田んぼを売って金に換えたいという人もいました。
人それぞれ、色々な問題を抱えていますね。
なお、基本的な話で、不動産と金の比較について、まとめておきます。
まず金現物の利点としては、
1)固定資産税がかからない
2)いつでも売れる
3)小分けできる。
これは、相続のときに、不動産は分割しにくいからでしょう。
金は、いわゆる「争族」が起きにくいのです。
金の欠点としては、賃貸マンション経営など、なんらかのリターンを得ることは出来ないこと。
理論的には金のリース市場もありますが、超低金利時代ゆえ、投資家にとって実質的に意味がありません。
以上、今日は金と不動産の話でした。
なお、足元の金国際スポット価格は、1,677ドルから1,721ドルまで急騰後、1,710ドル台で推移しています。
原油マイナス価格というショッキングな出来事で、金の換金売り第二波が勃発しましたが、それが一巡すると、改めて買い直されています。
なかなかに根が深い金高騰現象となっています。
1,700を超えると警戒水域なので、日々のボラティリティ(価格変動)も激しくなってきました。
米国大手銀行、バンク・オブ・アメリカが、今後18か月の金価格予測を3,000ドルに引き上げました。
2020年平均1,695ドル、2021年平均2,063ドル。
論旨は、筆者の主張とほぼ同じ。
タイトルが「FRBは金を印刷できない」。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-21/Q950LODWLU6F01