コロナウイルスのマクロ経済への影響は4-6月期が最悪期で7-9月期以降に回復と見られていた。
その回復シナリオが揺らいでいる。
欧米では、そろそろピークを迎え、封鎖解除のタイミングが議論される段階だ(日本は周回遅れ)。
ところが、その解除のハードルが高い。
国民のウイルス検査で陰性が確認されてから封鎖解除というのは現実的ではない。
抗体もその有効性は不明だ。
更に、米国のファウチ国立アレルギー感染所長は第二波の可能性も指摘する。
既に、中国、シンガポール、韓国などでは、再発事例がみられる。
これから気候が暖かくなればウイルスは死ぬという通説も、コロナは新型ゆえ、確認する術がない。


個人消費にしても、暫時封鎖解除になっても、おっかなびっくりで容易に回復しまい、長期化必至の情勢だ。
特に、日本が欧米からは危険視されている。
移動規制も緩いし、政府の決断も遅い。
人工呼吸器がまさにこれから命綱ゆえ、各国とも、新規民間企業による増産を進めているが、日本は厚生省が新規参入に抵抗している。情けない。


いっぽう、各国とも、金融財政政策総動員で経済的損失を抑え込む姿勢だ。
特に、FRBはジャンク債やハイイールド債など所謂「ハイリスク・ハイリターン」の債券まで買い取ることを発表してマーケットは仰天した。
こうなると、経済は停滞、マーケットは超緩和。
金が上がらないわけがない。
しかも、為替がこれほどの惨状でも108円台。
従来の市況の法則でいえば、90円の円高になっても不思議ではない。
円高神話は崩壊したといえよう。
それゆえ、円建て金価格は為替も上昇要因になっている。
まずは、命と健康を守ることが必須。
次に、金で財産を守ることも必須である。
重ねて言うが、これは、儲け話ではない。


なお、マーケット情勢としては、OPECにロシアを加えたOPECプラスが970万バレルという記録的な減産で合意した。
それでも、コロナ禍による世界の原油需要減が2千万バレルとされるので、需給は緩んでいる。
今回は、トランプ大統領も大票田テキサス州の基幹産業であるシェールオイルを守るために、協調の姿勢を見せている。
こうなるとOPECプラス&プラス。
但し、トランプ大統領のこと、これからの出方は未知数だ。
原油先物価格は「噂で買ってニュースで売る」展開で20ドル台前半に留まる。
下げにブレーキをかけた程度。
なお、サウジの政府系ファンドが、欧州のエネルギー関連企業とか、あのクルーズ船のカーニバルなど暴落した株を買いまくっている。
いわゆるディストレス投資。
原油暴落で台所が厳しいので、大胆な株買いに走っている。
そこまでしなければならぬほど、お尻に火がついているわけだ。