週末には、ニューヨーク州知事が、州内全従業員を対象に原則自宅待機を命令。
カリフォルニア州でも、全住民対象に原則外出禁止を命令。
トランプ大統領もコロナ関連定例記者会見で、この強硬措置を支持した。
更に、日本側からは米国への渡航自粛勧告、米国からの入国者(含む日本人)に原則14日間の待機要請が相次いで明示された。
そして、安倍首相も、遂に、東京五輪の延期を含む見直しの可能性に言及した。
23日早朝のシカゴ日経平均先物は一時15,060円まで急落。
風雲急を告げるかと思われたが、蓋を開けてみれば、日経平均は上昇している。
他のアジア株全面安との差が鮮明だ。ダウ平均時間外も800ドル超安となっている。
NY金は一時1,510ドル超まで急騰したが、その後1,480ドルまで売りこまれ、1,490ドル台で推移している。(日々変動しているが筆者の相場観は変わっていない。)
日本株の上げについてはニューヨークのヘッジファンドは「なぜだ。やはり二頭の鯨か」との反応である。
日銀とGPIFが日本株を買い支える「官製相場」現象は、今や、NY市場でも知られるところだ。
特に、19日には日銀が過去最大となる2,016億円のETF買いを実施したことも伝わり、ヘッジファンドに対しては空売りに対する一定の抑止効果を与えている。
この日銀ETF買いがNY市場で最近特に注目されているのは、量的緩和を再開したFRBが買い取り対象を拡大させているからだ。
既に、地方債も購入を発表している。バーナンキ元FRB議長とイエレン前FRB議長は連名で「FRBは社債も購入せよ」との意見記事を発表している。
ボストン地区連銀ローゼングレン総裁も、一般論として、買い取り対象の拡大を論じた。
ウォール街では、次は「株購入か」との憶測が絶えない。但し、FRBが社債や株を購入するためには、連邦準備法13条の改正が必要となる。
これまでは、中央銀行による株式市場への介入は「自由市場での価格形成を歪める」と批判的な意見が多かった。
しかし、コロナショックによる株価下落に歯止めがかからず、「有事対応として今回は止む無し」との意見も増えている。
このような背景で、本日、日経平均が日銀ETF買いの直接的効果あるいは抑止的な間接的効果で下げ渋ると、米国での議論も更に熱を帯びそうだ。
とはいえ、世界的株安連鎖が続くなかで、日本株だけが唯一下げ渋るという現象も異常な光景と言わざるを得ない。
コロナ後、日本株が「官製相場」のレッテルを貼られ、一般外国人投資家からは敬遠される理由にもなりかねない。
日銀とヘッジファンドの危ういせめぎ合いが欧米市場では注目される状況が続きそうだ。
なお、筆者の意見は、FRBが「金」を買えばよい。
既に米国は8,000トン以上の公的金準備を保有しているが、それをもっと増やせばよい。
株や社債よりは長期的に遥かに安定性があろう。
中国やロシアも外貨準備として金を買い増しているではないか。
いまや世界的な趨勢である。