米イランの報復合戦。
金価格は日本時間で1,610ドルを突破したが、NY市場では1,550ドル台まで急落。
本欄2019年12月19日付「金価格を読む6つの勘所」で「有事の金のドカ買いは悪魔の選択」と書いたよね。
有事の金は、やはり「売り」であった。
昨日の市場は、大統領選挙を視野に武力衝突は回避したいトランプ氏。
弾道ミサイル発射で「報復」の大義は果たしたとするイラン。
ミサイル標的は基地内米国人居住区という急所を外し、死者は出さずの配慮。
阿吽の呼吸で両者暫時矛を収めた。
この詳細は8日付本欄「イラン報復、日本市場も直撃」を参照されたい。
米中と米イランの両面作戦を強いられるトランプ氏には今後も危うい綱渡りが続きそうだ。
日本の視点で気になることは、トランプ大統領が「対イラン経済制裁強化」を表明したこと。同盟国にも足並み揃えるように要請する可能性が強い。
それにしても、イランの経済成長率はIMF発表でマイナス9.5%。2017年にはプラス3%だった。神権国家ゆえ、国民も緊縮に耐えよ、となろうが、我慢にも限界があろう。
 

なお、8日には、注目のゴーン元会長記者会見があった。
別途、米国CNBCの単独インタビューにも応じており「日本脱出は高くついた」との発言がウォール街の話題になった。
事情通の推定では相場は円換算で20億円は下るまい、との話が流れていた。
海外メディアでは、FTなどでゴーン元会長逃亡を仕切った人物としてテイラー氏の名前が挙がっている。
元特殊部隊で人質救出のプロ。
NYタイムズ記者をアフガニスタンから救出など「実績」を積み上げ、FOXニュースや米国ABCも「顧客」とされる。
米麻薬取締局の要請でレバノンの犯人を確保したことも。同じくレバノンでの誘拐人質救出でも手柄をあげた。
失敗例もあり、隠蔽工作でFBIスタッフの買収を試み有罪になった。
スポーツドリンク業に進出したことも。
周囲には良き隣人を演じていた。「必殺仕事人」を連想させる。仕事料も安くはあるまい。
カルロス・ゴーン65歳。日本に居る限り延々5-10年裁判が続き家族との面会も不自由。
レバノンに行けば英雄扱い。日本の司法は及ばない。立つ鳥後を濁しても全く未練はない。
結果は、異国日本独特の検察流の是非に大きな一石を投じた。
「家族と弁護士のアクセスを制限された」ことを記者会見では繰り返していたが、これは欧米社会では響く。
お好みのメディアだけ招き、ゴーン節でここぞとばかり、まくしたてる記者会見には後味の悪さが残った。
 

なお、金価格だが、下がったとはいえ、1,550ドルは高値水準。
上昇トレンドは崩れていない。
ただ、上げのスピード違反。押し目は拾われる。
それにしても、昨日は激動の24時間。
朝一のミサイルから深夜のゴーン記者会見、トランプ演説。
息抜く暇もなく、集中力を維持していたから、さすがにグッタリ疲れたよ。
朝から大福の甘味が沁みる(笑)