NY金が、本欄でずっと語ってきた安値圏をやっと本格脱出した。
クリスマス休暇中の薄商いの地合いで、投機筋がまとまった買いを入れて、心理的抵抗線の1,500ドルをブレークさせた。
マクロの視点にたてば、米中軟化ムードで英国EU離脱も一安心という状況。
安全資産=金は売られやすいはずだが、教科書通りに動かないのが最近の金価格だ。
冷静に見れば、米中「第一段階」貿易交渉合意へ動くといっても、米中冷戦は続く。
ハイテク覇権争い、特に中国政府のハイテク産業への巨額支援金(特に5G関連)などは、中国側が絶対に譲歩できない。
更に、香港、ウイグル自治区の人権問題も、中国側は「米国の内政干渉」と強く反発している。
ここでは妥協の余地は一切ない。
加えて、台湾の選挙も視野に入ってきた。
米中問題に関しては、株式市場が楽観論に走りがちだが、金市場は一貫して懐疑的だ。
米国大統領選挙も2020年の最大関心事だが、共和、民主、どちらの候補が勝っても、金には買い材料となる。
トランプ再選なら、ツイート一つで相場が乱高下する、マーケットの不安定な状況が続く。民主党候補当選なら、株価暴落リスクがある。
最有力のバイデン氏は法人税率を21%から28%への引き上げを唱えている。
この法人税に州ごとの地方税を加算すると米国企業が払う税金は30%を超し、欧州より高くなる。
トランプ減税を囃して上げてきた株式市場にとっては、前提条件が崩れることになる。
急進左派のエリザベス・ウォーレン上院議員に至っては、フェイスブック解体など過激な反市場的政策を掲げているので、株価は25%暴落と予想される。
あまりに過激すぎて最新の調査では支持率が低下気味だ。
なお、トランプ大統領の弾劾訴追が残る。
しかし、共和党が過半数を占める上院で2/3の賛成投票が必要だから、まず成立しない。
しかも、民主党のリーダー、ペロシ下院議長が「弾劾」に必要な具体的証拠を欠くままに、「とにかくトランプはけしからん」的な理由で強行突破したことで、一部世論の反発を招いている。
最新の調査では弾劾賛成・反対が48%ずつと真っ二つに割れてきた。
トランプ支持者は「弾劾訴追」に反発して団結する傾向にある。
結局、弾劾問題は米国内の亀裂を深めただけと言える状況だ。
マーケットは弾劾問題を全く材料視していない。
金融政策面では緩和基調が続き、金には追い風だ。
足元ではスウェーデンがマイナス金利から脱却する事例も出てきたが、総じて、日欧のマイナス金利政策に大きな変化はない。
このような市場環境で、金市場は1,500ドル近傍で越年となりそうだ。中国の正月=春節は中国で最も金が売れる時期だ。
ヘッジファンドが金空売りしにくい時期でもある。
金市場へのマネー流入も、良質の投資マネーが目立つ。
ドル円が殆ど動かないこととの対比が鮮明な金市場である。


今日の写真は、らく山@京都祇園の大将。

 

らく山の大将

普段は弟子に厳しいので、珍しい笑顔。
徹底的に素材と味にこだわる職人気質。
来月は、聖護院かぶらの蕪蒸しとか、京都風まる餅、白味噌のお雑煮が楽しみ。