東北大震災発生後、例えば、九州の工場が、東北の調達先からの部品供給が途絶えたことで、操業停止を強いられるというような事態が全国的に生じました。
東北経済圏の蒙った直接的ダメージは約1,000億円。
しかし、このサプライチェーン破断による全国的損害は約11兆円と推定されています。
同じことが、日本の対韓輸出管理強化についても、起こりえます。
今回の震源地はサムソン電子。同社の生産品は国境をまたいで大きなサプライチェーンに組み込まれています。
それゆえ、同社製品の供給が仮に止まると、アジア全体に拡がるサプライチェーンの破断現象が生じるリスクがあります。
そもそも、韓国は日本の輸出の7%を占めます。
その影響は決して小さくありません。
日韓が睨み合いを続け、消耗戦となれば、それは経済大国の日本が勝つでしょう。

しかし、日本が蒙る痛手を考慮すれば、ルーズ・ルーズ、つまり両者とも損なシナリオとなり、ほくそ笑むのは中国と言う結果になりかねません。
そもそも、サムスンの調達先主要100社のうち日本勢は23社にのぼります。
住友化学、SUMCO、太陽日酸、東京エレクトロン、キャノン、アルバック等々。素材や半導体製造装置メーカーです。
半導体生産は、数千の精密な工程を2-3か月かけてこなすので、同じ材料でもメーカーごとに微妙な「癖」があり、調達先を変えれば、歩留まり率(良品率)悪化が不可避と言われます。
ですから調達先を変えるリスクを身に染みて感じているのは、ほかならぬサムスンでしょう。
遡れば、サムスンは元々製糖業でした。それが1969年、今は懐かしの「三洋電機」と黒白テレビで合弁企業を興したことが電子部門本格参入のキッカケになったのでした。
今でも、サムスン本社には三洋電機への「謝辞」が飾られているのです。
とはいえ、朝鮮戦争の荒廃から韓国が立ち直り、輸出大国となる過程では、基礎的研究より実用的技術が優先されました。
下請け企業を叩いて値下げさせ利益を捻出する傾向が強かったのです。
人材的にもエリート官僚への登竜門とされる「科挙」試験の受験資格は、儒教の伝統の中で特権を得てきた一部の人たちに限定されました。
ソウルの高級住宅街に住む一部の特権階級は、子息を有名塾に通わせ、エリートへの道が実質的に保障されている、という状況。
これが、今回の「たまねぎ男」疑惑、不正入学などの素地となっているのです。
14世紀以来、韓国で独自の発展を見せた孔子の教え=儒教の文化的影響を除去するのは容易なことではないでしょう。
韓国経済のアキレス腱ともいえます。
とはいえ、日本だって、受験教育優先で、地味な基礎的研究が疎かにされる傾向は否めませんよね。
他人事と言えないのが辛いところ。
経済面では日韓共存共益の時代があったのですから、せめて経済面では、ルーズ・ルーズではなく、ウィン・ウィンの関係にしたいものです。


さてさて、急に寒くなった。いよいよ待望のスキーシーズンも近いけど、沖縄の暖かさが忘れられない~~!

 

沖縄の景色