8日のNYダウ平均は、パウエルFRB議長が講演で短期金融市場混乱への対策として短期国債購入という「疑似」量的緩和に言及したのち、急落。前日比313ドル安で引けた。
市場変動要因としては、やはり米中通商摩擦が最も強く意識されている。
マーケットは米中共倒れを回避するため「停戦合意」シナリオを描いていた。
全面合意までは、はなから期待していない。
まずは中国側が米国農産物輸入拡大。知的財産権保護に関して一部譲歩。米国は予定されている追加関税の一部撤回あるいは発動延期。
ハイテク覇権に関わる事案は先送り。
譲れるギリギリの線で合意。核心は長期協議で継続交渉という日米貿易交渉の「停戦モデル」に準ずる条件付き歩み寄りを期待していたのだ。
しかし、その楽観論が8日は一気に吹き飛んだ。
中国が絶対に譲れない人権問題を、トランプ政権が米中貿易交渉に絡めてきたからだ。
ウイグル族弾圧に利用されている監視カメラの製造大手に対する禁輸措置。更に、本件に関わるとされる人物へのビザ発給制限。
更に、米国公的年金基金の中国への投資制限について再び検討の姿勢もちかつかせている。

 
中国の報復措置が危惧されるところに、今週ワシントンを訪問する中国側貿易協議団が、予定を繰り上げて帰国予定との観測報道が流れた。
団長役の劉鶴副首相に、今回も「全権大使」の肩書がついていないことも懸念視される。
更に、問題は米国バスケットボール界に思わぬ波及を見せた。
キッカケは来日中で8日に埼玉アリーナでプロバスケットボール・オープン戦に参加した人気チーム・ヒューストン・ロケッツのGMモーリー氏の問題発言。
香港問題に関して「自由のために闘おう。香港とともに立ち上がろう」とツイートしたことに中国側が猛烈に反発したのだ。
米バスケットボール協会(NBA)が開催する試合の国内テレビ中継や関連人気グッズの販売中止が相次いだ。
NBAの試合中継は、延べ5億人の中国人ファンが視聴すると言われるほど中国国内で人気がある。
本場米国人ファンに匹敵するほどの規模だ。
習近平氏も主席就任前にはロスアンジェルスで本場バスケットボールを観戦している。
中国での放映権には5年契約で1,500億円相当を超す金額が支払われている。
試合中継が禁止されると中国人バスケットボール・ファンからブーイングが起きても不思議ではない。
渦中のモーリー氏は、その後「誰も傷つけるつもりはなかった」と謝罪。
NBAは「モーリー氏のツイートはNBAを代表するものではない」と関与せずの立場をとった。
ここから問題は米国内に波及。謝罪発言に対して、「人権より金銭的利益を優先させるのか」との批判が「超党派」で噴出したのだ。
米国民の愛国心も刺激されている。
NBAはこれまで選手の政治的発言を容認してきたので、ネット上では「偽善的」などの批判が飛び交う。
そもそも米企業が利益優先で中国の圧力に屈し謝罪する事例が頻繁に起きていた。
GAP、ティファニー、コーチ、デルタ航空、マリオットなどの企業名が挙がっていた。
それゆえ問題の余波が米中通商摩擦にも及びかねない情勢になっている。
米中貿易協議の落としどころについては、トランプ氏も慎重にならざるを得ない。
来年早々、大統領選挙前哨戦が本格化したところで、形だけでも米中合意という切り札を出すのが得策であろう。
それまでは、強硬・軟化発言を繰り返し時間稼ぎする意図も透ける。
いっぽう、選挙の縛りがない長期政権の中国側は、トランプ氏弾劾問題の行方を見極めつつ交渉に臨む余裕がある。
 

このような情勢の中で、マーケットは、次の一手を読みかね、当面ポートフォリオ全体のリスクを減らし見守る姿勢が強まってきた。
恐怖指数VIXも再び警戒水域とされる20の大台を突破した。
NY金は1,490ドル台に下がった後、買われて1,500ドル台回復。
金を買う理由には事欠かない情勢だ。
「10月は荒れる」との相場体験も意識され、市場は身構えている。
 
そして、今日の写真は昨日紹介した札幌郊外の山中にある農園レストラン、アグリスケープ。
昨日の写真の野菜たちが、まず、サラダで供される。

 

野菜

一つ一つ、本当の野菜の濃い味・食感が楽しめる。
東京で買う野菜とは異次元の世界。都会に住む人間には、旬の新鮮な野菜はなによりのご馳走だね。
そして、北海道名物、鹿の肉。鮮やかな色のビーツに包まれ、調理されてきた。
 

 

地元の寿司屋に行くと鹿の刺身とか鹿のニギリまであるけどね。
熟成させると、クセがなく、新鮮な旨さが引き立つ。