中国株の米国上場廃止、米公共年金基金の中国株購入規制に関する報道に市場が揺れている。
27日には、米国で上場されているアリババ株や中国関連ETFが急落した。
人民元も乱高下した。
トランプ政権内で検討対象に挙がっているとされるが、まだ初期段階ゆえ、様々な観測が先行している。
結論からいえば、米中交渉の「戦術」として使われる可能性はあるが、「戦略」となる確率は極めて低い。
トランプ大統領は、今後、この「株式カード」をちらつかせる、あるいは、意図的に情報をリークするかもしれない。
しかし、株式市場心理を冷やし、全般的に株価を押し下げる影響があるので、大統領選挙を控え、トランプ氏も慎重にならざるを得まい。
中国側は、対中投資制限を緩和する方向に動いてきたが、この流れが止まる、或いは、逆行する懸念も強まろう。
米中が株式市場で報復合戦を展開すれば、共倒れともなりかねず、ハイテク覇権争いのような「戦略」問題に発展するリスクは低い。
とはいえ、株空売り投機筋にとっては格好の売り材料だ。
株価に直接的影響を及ぼす要因ゆえ、今後も観測報道が市場に流れるたびに、短期的に市場が変動するケースが増えそうだ。
特に、MSCI新興国株指数での中国株組み入れ比率が上昇しているので、機関投資家は新興国株投資に慎重にならざるを得ない。
人民元への影響も要注意だ。SDRの構成通貨となり、人民元の国際化は習近平政権の「戦略」となっている。
その自由化路線を妨げる要因は、トランプ政権側から見れば、「使える」交渉カードとなろう。
まず、市場は、今後、本件に関するトランプ・ツイートでの言及をフォローしている。
金市場は、既に、中国が表面的な金輸入を規制している。国際市場でドル建て金を購入すれば、中国側から見れば、ドル流出となり、減少傾向の外貨準備が更に減ってしまうからだ。
しかし、中国は世界最大の金生産国で、国が生産量を意図的に増やせる。
更に、実態は、密輸入が経常的に横行しており、あの広大な国境を警備するなど不可能なことだ。
但し、高値による買い控え傾向は、ドバイやムンバイと同じ。
日延べ取引主体の上海黄金交易所の現地金価格より、貴金属店頭の実勢金価格のほうが割安になっている。
なお、NY金は一時1,480ドル台まで急落後、1,490ドル台に戻している。
流れとしては1,530ドル台に反騰したものの相場のアタマを叩かれた感あり。


さて、ラグビーで日本金星。
EU離脱問題のネックになっているアイルランドゆえ、私は経常的にアイリッシュ・タイムズ電子版をチェックしているのだが、週末は、日本に負けた屈辱が滲んでいたね。
曰く、ラーメン・ボウル(お椀)に沈んだ。
レフリーの疑惑のペナルティーとか、高温多湿とか、言い訳はもういい。日本が勝ったのだ。
ホスト国に勝つと帰りの選手バスが囲まれるという不安は杞憂だった。などなど。
でも、アイルランドは実は親日国。第二次大戦のマレー沖海戦で、イングランドの最新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズが日本軍に撃沈されたとき、英国は喪に服したが、アイルランドは喝采を送ったというエピソードがある。
中世のじゃがいも飢饉のときに、英国の地主たちはアイルランドの小作人たちを見放した。
そのことを1999年にブレア英首相が正式に謝罪しているほど。
その反動で親日傾向が残るのだね。
なんというか、日韓関係もそうだけれど、近隣憎悪は根が深いものよ。