24日のNY株式市場は、米中貿易協議より大統領弾劾に揺れた。
まずペロシ民主党首が記者会見との情報で急落。NY金は1,520ドル台から1,530ドル台へ急騰。
その後、問題となっているウクライナ大統領とトランプ大統領の電話協議の記録をトランプ氏が公表する意向と伝わり株価は反落した。
NY金は1,530ドル台に留まる。
引け後の日本時間午前6時台にペロシ氏が記者会見で弾劾への調査開始を正式に発表している。
まずは、件の電話会議記録発表が注目される。
今後のマーケットへの影響だが、結論から言うと、過剰反応が目立つ。
株空売りヘッジファンドには格好の材料を提供したと言えよう。
基本的には、弾劾動議には下院過半数、上院2/3の賛成が必要なことは周知の事実だ。
現実的に、弾劾の成立は極めて難しい。
トランプ支持派は団結を強め、トランプ反対派は批判の声を高めることで、米国政治の断裂を印象づけることが、現実的な展開と思われる。
やはり、米中貿易協議の進展状況とFRBの金融政策が主たる市場変動要因となろう。
政治・地政学的要因としては、サウジ・イラン・リスクのほうが遥かに強い。
その意味では、この米国政治混乱をほくそ笑んでいるのは中国であろう。
米中貿易協議に関しては、「待ち」の姿勢を強める要因とはなり得る。
ペロシ党首記者会見直後に書き込まれたトランプ・ツイートに滲む激しい感情の起伏のトバッチリで、まだ完全とは言えない日米貿易協議が思わぬ影響を受ける可能性も残る。
市場心理を冷やす効果は無視できまい。
金には追い風となる。
最近の金市場は地政学的要因に鈍感だ。
そのなかで、例外は、サウジ・イラン戦闘突入とトランプ弾劾の「テールリスク」だと筆者はメディアで年初から指摘してきた。
テールリスク、即ち、実際に起こる可能性は極めて低いが、起これば、市場に激震が走る事象。
その両方のリスクが顕在化したことは、1,500ドルを分水嶺とする金価格には上方への追い風となる。
但し、あくまで、テールリスクなので、警戒感から買われても、持続性には難あり。