前NY連銀総裁ダドリー氏が政治的理由でFRBに予防的利下げを思いとどまるように説得の寄稿を外電で発表した。
「FRBは選択に直面している。トランプ政権が貿易戦争をエスカレートして破壊的な道をたどることを可能にするのか、あるいは、このままではトランプ氏が次期大統領選で敗北するリスクを負うという明確なシグナルを送るのか。」
「トランプ大統領再選は、米国そして世界経済に脅威だ。FRBの独立性と雇用とインフレ目標達成にも脅威になる。金融政策の目的が最善の経済状況を達成することであれば、FRBは自らの決定が2020年の政治状況にも影響を与えることを考慮すべきだ。」
NY連銀総裁といえば、FOMCでも「常任」投票権を持ち主導的地位にある。
ダドリー氏もイエレン氏を強く支持して、FRBのハト派的金融政策推進に貢献した。
当時、同氏の発言が市場を動かした事例も少なくない。
それだけに、民主党員であるダドリー氏の政治的発言は、NY市場を驚愕させたと言っても過言ではない。筆者も驚愕した。
FRBが直ちに「FRBの政策決定に政治的考慮は断じて一切無い」
と異例の声明を出したことも、衝撃の強さを物語る。
おりから、トランプ大統領は27日にも、FRB非難ツイートを書き込んでいた。
「FRBは我が国製造業が輸出関連で苦しむのを見て楽しんでいる。FRBは、あまりの長期間にわたって、間違いを続けた。」
ここまで言われても黙っているのか、とダドリー氏はパウエル氏に言いたいように見える。
しかし、市場では、さすがに、ダドリー氏の露骨ともいえる変身にはついてゆけないようだ。
トランプ氏の金融政策介入には反対だが、FRB自らが金融政策で政治に介入することには同調できない、との声が目立つ。
こういう発言はトランプ氏の政治的介入をかえって増長させる、との懸念も指摘される。
パウエル氏は、FRBの政治的独立は断固死守する姿勢を明らかにしている。
しかし、トランプ氏は、空席の二つのFRB理事ポストに、トランプ支持派を送りこむことで、徐々にFRBをトランプ色に染める動きを見せている。市場と大統領の同時利下げ催促に直面しているのだ。
ここで9月利下げ決定となれば、圧力に屈したとの謗りも受けかねない。
かといって、元身内からの「激励」も有難迷惑であろう。
27日のNY株式市場では、逆イールドが拡大して株下落要因になっただけに、金融政策動向には極めて神経質になっている。
米長短金利が全て米政策金利を下回るという「金利沈没現象」も市場の不安感を煽る。
それだけに、昨年まで市場の注目を浴びていたFRB重鎮の発言を無視もできないのだ。
さて、本欄でも書いてきた「年金不安」の問題。やっと政府が想定通りには年金が支給されない可能性を認めましたね。
昨日は、この問題について色々意見を聞かれました。
どうみても少子高齢化で外国人移民労働者も拒む文化の国で、これから働き手は減り、年金受給者は増えるのだから、今の年金には無理があります。国をアテには出来ないのだから、自分でやり繰りするしかないでしょう。
打ち出の小づちは無い。まずは、とにかく働ける人は働く、ということですね。
個人的にはやはり年金の運用が気になります。
今朝の報道でもGPIFが外債運用増やすことで円高防ぐ為替介入効果あり、とか記事になっていました。
年金積立額の半分までは株、外貨建て資産も増やす。
ここは、委託されたプロの運用手腕次第。
これまで株に興味なかった人でも、自分の年金が、株価にかかっていると思えば、関心を持たざるを得ないでしょう。
これを機会に投資について真剣に考えるときだと思います。