金国際価格は1,550ドルに再接近中。
昨日は、米10年債と2年債の利回り逆転差が、2007年以来の水準に達したことで、株価には下げ要因となった。
米国債は3か月物から30年債まで、全ての利回りがFFレート(米政策金利)を下回るという「金利沈没」現象が不安感を煽る。
いずれFRBが政策金利を実勢の市場金利に合わせる方向で利下げせざるを得まい、との観測が強まる。
金利を生まない金には追い風である。
市場では、早くも、金国際価格が、いずれ史上最高値を更新するか、との議論も出始めた。
ギリシャ危機の2011年9月につけた1,923ドルが史上最高値だ。気が早い話だが、絵空事と片付けることも出来ない市場環境だ。
結論から言うと、ホルズム海峡封鎖と米中貿易協議決裂が同時進行すれば、短期的に先物主導で、最高値更新もありうる。
否定はできない。
私は、冷ややかで、それは無いと思う。
既に市場はさまざまなリスクを織り込み、現水準に到達している。
トランプ大統領も今以上のリスクを生じさせることは、大統領選挙視野に、好ましいことではあるまい。
私がプロ目線で気になることは、市場参加者の目が、NY先物価格ばかりに向き、長期トレンドを決める現物市場(ドバイ、ムンバイ、上海)には無関心なことだ。
その現物の需給が、それこそ過去最大級にまで緩んでいることは、ムンバイ
の現地価格が世界標準のロンドン価格に比し、1トロイオンス30ドル以上のディスカウントになっていることで検証できる。
ここまで高くなると、今年のディワリには、金より銀のほうが売れそうだ。銀は貧者の金である。
ディワリとはヒンズー教のお祭り日。ヒンズー暦の新月の夜(10月から11月)に行われるが、その前後はインドで金が最も売れる時期になる。
なにせ、買い物することが縁起良いとされているからだ。
そのインドで金がだぶついているのに、金価格が急騰を続けることは、需給に逆らって上がっていることになる。
リーマンショックとギリシャショックで金が急騰したときも、全く同じ現象(NY買い、ムンバイ売り)が見られた。
派手に上がったが、派手に下がった。金バブルであった。
今回は中央銀行の金購入加速という新たな需給要因があるので、下がっても価格水準は1,400ドル程度だと思う。
そこは、すかさず、新興国現物市場で集中的に買われるだろう。
その時点でムンバイのディスカウントは解消されよう。
それゆえ、今、金価格動向について聞かれれば、短期的に上げのモメンタム(勢い)は続くだろうが、中期的には売りのサインが点灯している。
しかし、底は浅く、下がったところは買い直されると答えている。
今年についていえば、今の急騰局面で、行けるところまで行って、それが今年の最高値となる、と見ている。
高値圏での波乱が年内続く。1,700、1,800、1,900と暴騰すれば、逆V字型の暴落となろう。
投資家には、まとめ買いは避け、少しずつ買い増してゆくことを薦める。
今朝の日経朝刊は年金が想定通りには出ない可能性を一面で報じている。
自分年「金」を真剣に考えるべきときだ。
 

今日の添付写真はインドのディワリの日に訪問したときの写真。


店頭でインド美人と並んでながーい鼻の下(笑)

 

豊島氏とインドゴールドショップの女性

シルバーの売り場も盛況。

 

シルバー売り場

そして、裏町の貸しビルに並ぶ金宝飾品製造工房。

 

金宝飾品製造工房