誰も想定しない劇的展開であった。
13日NY市場の寄り付き前には、香港国際空港大混乱の映像が流れ、安全通貨としての円買いが加速。
一時は105円大台ギリギリの水準まで円高が進行していた。日経平均時間外も2万円の大台に接近していた。
そしてダウ平均も前日比マイナス圏で始まった。
異変が起こったのは、その直後だ。
ダウ平均がジワリ、プラス圏に転じるや、スルスルと100ドル高、200ドル高と上げ幅を加速。
一時は500ドル超まで急反騰を演じた。
それと並行して、マーケットは米国通商代表部発表のプレスリリースの解釈に揺れていた。
「対中10%追加関税発動を、一部の品目に限り、安全上、健康上などの理由により、12月まで延期する」
更に、この発表前に、米中閣僚級電話会談が行われたことも明らかになった。参加者名には劉鶴経済担当副首相、ライトハイザー米通商代表、ムニューシン財務長官らの名前が並ぶ。
外為市場では、円が106円台まで急反落。金は1,510ドル台から瞬間的に1,480ドル台まで、崖を落ちるがごとき下げっぷり。
その後、戻したが、1,490ドル台。「米中貿易摩擦に進展の兆し」がアルゴリズムを通じて、投機的ポジションの一斉巻き戻しを誘発した。
株は空売りの買戻し。円と金は投機的買いの売り戻し。
但し、巻き戻しが一巡すると、そこで、値動きは止まった。
あとのフォローの売買が続かない。
株式市場にとって、思わぬトランプ大統領からの気が早いクリスマス・プレゼントであったが、その賞味期限は疑わしい。
あけすけな朝令暮改を見せつけれられると、次のツイートで、また、ちゃぶ台返しを食らわされるかも、と市場は疑心暗鬼になる。
その市場混乱のなかで、唯一冷静だったのが債券市場であった。
注目の米10年債、2年債利回りは、どちらも反発したが、株式・外為・商品市場に比し、かなり控えめな反応だ。
特に注目の中心となる10年債と2年債の利回り格差は一時0.02%前後まで縮小した。
本格的逆イールドに接近の動きは前日より加速している。
株式市場は素直に米中歩み寄りを歓迎しているのだが、債券市場は、逆イールド=不況の兆しという呪縛から抜けきれない。
やはり株式市場は楽観論で育ち、債券市場は悲観論で育つものなのか。
FRBの利下げ確率にも著変は見られない。
NY寄り付き前に発表された7月の米消費者物価が、コア指数で年率2.2%の上昇を見せたのだが、市場に染み付いた低インフレ症候群が快方に向かう兆しは見られない。
結局のところ、マーケットの表面に積もった投機的ポジションの新雪が、通商代表部からの異音で、表層雪崩を起こした。
市場には雪崩警報が引き続き鳴り渡り、警戒モードは解けない。
深読みすれば、電撃的追加関税一部延期により、習近平政権は、「待ち」の作戦で第一ラウンド判定勝ちを取った、ということか。
大統領選挙視野にトランプ大統領は、クリスマスプレゼント対象品目に対する課税を延期せざるを得なかった。
とはいえ、クリスマスの後には中国の春節がある。
年に一度の里帰りに満足なお土産も買えないようでは、人民の不満も嵩じ、予期せぬ社会不安も起きかねない。
ここは長老たちとの北戴河会議で、習近平氏がきっちり釘を刺されたところであろう。
しかも、来る10月1日には国慶節を迎える。
今年は特に建国70周年記念の年だ。国内に弱腰は見せられない。
下落が加速していた人民元相場も、追加関税延期で反発したが、潮目が変わったとは言えない。
しかも、香港危機は悪化の一途を辿っている。ここには中国側が絶対譲れない一線がある。
「待ち」の作戦も、習近平政権にとっては、瀬戸際での危うい綱渡りなのだ。
香港危に対するトランプ大統領の態度は素っ気ない。
ツイートも感情は出さず淡々と「中国政府は軍を香港国境に移動中。平静を望む」という程度だ。
トランプ氏が気になるのは来年の大統領選挙だけ。
その趨勢に影響を与える米中貿易摩擦で頭がいっぱい。香港は二の次なのだろう。
但し、米中貿易交渉の材料としてなら、香港問題は使える。
トランプ氏が習近平氏に「香港には関与せず」との暗黙のメッセージを送っているようにも見える。
巷間ではCIAの関与も噂されるが、トランプ大統領とCIAの間の距離感は周知のとおりだ。
かくして第二ラウンドは、香港をテコに、トランプ側が判定有利を取るかもしれない。
中国が米農産品の大量購入に動くシナリオなどがあり得る。
トランプ氏は13日のツイッターで「中国は偉大な米農家から大規模な購入を行なうと言ってきたが実行していない。
しかし、今回は違うかもしれない」と述べているからだ。
米中貿易「消耗戦」の成り行きに一喜一憂する市場の状況は変わらない。
NY金は、本欄警告どおり、過熱相場の揺り戻し。
短期警戒、中長期強気のスタンスは変わらず。
いやはや、それにしても、台風の影響で異常な蒸し暑さ。
大荒れ相場で私のお盆休暇は消えた~~。
やけっぱちで、ミニストップのソフトクリーム爆食中(笑)
冬だったら、スキーがあるのに…。
真夏は運動せず糖質摂取過多。寒冷地仕様のカラダには極めて不健康な状況。
40度を超すドバイの糖尿病施設が世界一というレベルに発達している理由も分かるね。
ドバイの女性はダブダブの民族衣装が体形隠せて、暑いから運動せず甘いもの食べまくる。
その民族衣装の下はキラキラの重いゴールドジュエリーだらけ。肩が凝りそう。
でも、せっかくの金宝飾品を宗教的戒律で肌を晒せず、人に見せられない。
それでも金宝飾品を買い続ける。
これって自己満足。こういう文化に支えられた需要は根強いから金価格の鉄板の下支えになるわけ。
そのドバイに並ぶゴールドショップの写真も添付。
ここが、今は超閑散。高値圏では買い控え。
下がったら、待ってましたとばかり買いに入る。
NY先物主導の上げゆえ、表層雪崩も起きやすい。