日本時間1日午前3時に発表されたFOMC声明文は、ほぼ想定通り。「適宜に行動する」という利下げ継続を示唆するFRB用語も盛り込まれた。市場も反応薄であった。
ムードが一変したのが、午前3時半から始まったパウエル議長記者会見で発した一言。
「(今回の利下げは)中盤の政策調整だ」
2018年12月利上げが市場に思わぬショックを与えたことに対する反省から、12月利上げを取り消して、バランスを図る調整、と読める。
更に、パウエル議長は、たたみかけるように「長期的利下げサイクルの始まりではない」とも述べた。
この時点で、ダウ平均は突然400超急落した。
マーケットでは、0.5%幅の利下げ予測も飛び交い、年内あと3回利下げもあり得るとの観測も流れ、先走り気味であった。そこにパウエル議長は強烈な牽制球を投げた。
その後、パウエル議長からは「一回だけの利下げか、利下げ継続か、コミットしていない」と市場のショック的反応を和らげる発言もあった。しかし、市場の不安心理は収まらず、結局ダウ平均は333安で引けた。
恐怖指数VIXも前日比20%以上急騰して16台に乗せた。市場の狼狽を映す。8月相場は荒れ模様の兆しにも見える。
外為市場では、ドルインデックスが、レンジの上限とされた98を大きく上回るドル高となった。0.5%幅までの利下げを見込んだ一部の通貨投機筋が、失望のドル買戻しに走っている。
金利を生まない金の市場でも、失望感から見切り売りが先行して、NY金は1430ドル台から1410ドル台に急落している。
総じて、今回の記者会見で、パウエル議長は、中国欧州発の不安要因が「底堅い」米国経済に与える影響を懸念する可能性を懸念する印象を与えている。
その不安要因の震源であるトランプ大統領は早速「FRBにはガッカリ。長期的利下げサイクルを市場も期待していた」とツイート。FRB資産圧縮プログラムを2か月早く停止することには一定の満足感も示した。
市場には大統領選を視野に、トランプ大統領は、米中貿易戦争のこれ以上の悪化は回避との見方が根強い。ダウ333下げも、ドルインデックス急騰も投機筋のポジション調整による影響が色濃い。
今回のFOMCで市場の潮目が変わったとは言い難く、行きすぎの調整局面に見える。
さて、FOMCというビッグイベントと、かんぽ生命問題記者会見(2時間半)と重なり、大忙し。結局徹夜して、これから大阪の読売テレビスタジオに向かう今日のミヤネ屋で「かんぽ問題」について生出演解説。