かんぽ生命の不適切販売行為問題は、次から次へと、呆れるばかりの事例が地方新聞報道などで出てきて、案の定、泥沼化の様相。
例えば、上司からのノルマで一日5件の見込み客訪問。訪問先がないときは、グループ内のゆうちょ銀行の富裕層個人データを、目的外使用が禁じられているのに、見て使った、という事例。
セールスはグループで動くので、インストラクターといわれる成績優秀職員に同行して見習う。
殺し文句は「天国までおカネを持って行ったらお子さんが困りますよ」「毎月100万円をお子さんの通帳に動かして、保険の形で預けてもらえば、相続税も贈与税もかかりません」そもそも相続税の課税対象者でなくても、相続税より保険料が高くなっても、お構いなし。
「商品で勝負しても負ける。お客さんに多少の不利益があっても乗り換えさせるしかなかった」との告白も。
郵政民営化された2007年10月時点のかんぽ生命の保有契約件数は5518万件だったが、年々減少。18年度末には2914万件をほぼ半減している。それでも日本の人口の1/4ほどの規模だ。
いっぽう、新規の契約件数は民営化後、200万件前後。
民業圧迫を避けるとの理由で新商品開発も自由に出来ない。そこで、がん保険のアフラック生命の米国親会社にも出資。今や、アフラックの商品が一番の売れ筋で、自社商品へのノルマが禁止されると、アフラック商品へのノルマが3
倍に跳ね上がるというケースも。
ノルマ達成のために、カラ契約や自腹営業は当たり前。局内に張り出される営業成績一覧表で上位の「優績者」は「躍進会議」などの名目で旅行や食事会に招待される。いっぽう、成績が悪い職員は「魔の研修会」に強制参加。反省文を書かせられ「足を引っ張ってんのはオマエや。土下座せえ。」」各局に行って頭下げてこい」というパワハラ。職場では「今日のばあさんは良い人だから、なんとか言いくるめてきた」「相手はカネだと思え」「下手な同情はいらない」などの会話が飛び交う。
各地区のノルマは一人当たりの金額に所属人数を掛け合わせて計算するため、成績が悪い局員を退職に追い込み、地区全体のノルマを下げようとする幹部も。
年賀はがきや、「かもめーる」にもノルマがかけられ、自腹で一万枚購入して近くの金券ショップにサングラスとマスク姿で駆け込んだら、既に同じ身なりで大量の年賀はがきを持ち込む男性が6人もいたとか。ノルマは班ごとに数千枚単位で割り振られるので、連帯責任を負わされる。
日本郵便が2017年に始めた「みまもりサービス」。局員が独り暮らしの高齢者宅を訪問して家族に近況を伝える報告書をメールで送る。しかし、地域ボランティアが動いてくれるので、全く売れず。殆どが自分の家族を見守り対象にした自腹営業。
会社も実態を把握していて、下記のような指導書を配布していた。
2018年9月14日 適正募集ニュース vol92
発行 金融業務部 募集管理統括室
今月号のトピックス
1. 募集人の都合のみにて乗り換え判定期間を意図的に外す保険募集はしてはいけません。
2. 高齢者募集時には契約者及びご家族への丁寧な説明を実施しましょう。
結局、小泉政権の郵政民営化が民主党政権で大きく後退した結果、親方日の丸の組織が「民営化」という綺麗なパッケージに入っただけの話になっていたわけ。
明日8月1日木曜日の「ミヤネ屋」に生出演して、これで2回目だが、かんぽ生命問題について語る予定。
今日、日本郵政幹部の記者会見があるから、そこで、新たな事実や今後の方針が発表されよう。
そして、今晩というか明朝にはFOMC。今年最大のビッグイベント。これは、ただ結果を待つのみ。
今日の写真は、濃いマンゴーアイスに、胡麻ソース、わらび餅などを添えたデザート。蒸し暑い季節にピッタリ。